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アルファルファ~安全性と危険性から適正量まで

 キャットフードのラベルに記された「アルファルファ」。この原料の成分から安全性と危険性までを詳しく解説します。そもそも猫に与えて大丈夫なのでしょうか?また何のために含まれ、猫の健康にどのような作用があるのでしょうか?

アルファルファの成分

 アルファルファ(alfalfa)は中央アジア原産マメ科ウマゴヤシ属の多年草。日本語では「ムラサキウマゴヤシ」とも呼ばれます。アルファルファの属するMedicago属には60種以上が含まれており、商業栽培が行われているのは紫花アルファルファ、黄花アルファルファの2つとその亜種や交雑種です。 キャットフードの成分として用いられる「アルファルファ」の花  牛などに与える牧草として使われるほか、スプラウト(新芽)の状態でサラダ、葉は野菜として食されます。俗に「食欲を増進する」「利尿作用がある」「強壮作用がある」と言われていますが、人での有効性については実証されていません。 キャットフードの成分として用いられる「アルファルファ」のスプラウト(新芽)  キャットフードのラベルに「アルファルファ」と記載されている場合、それが種子なのかスプラウトなのかを確認する必要があります。なぜなら含有成分がかなり変化するからです。

アルファルファは安全?危険?

 アルファルファを猫に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?以下でご紹介するのはアルファルファに関して報告されている安全性もしくは危険性に関する情報です。

プロフィリン

 プロフィリン(profilin)はアクチンと呼ばれる微小フィラメントと結合する性質を持ったタンパク質の一種。全ての細胞に存在し、細胞外の刺激に反応してアクチンの調節に関わっています。
 アルファルファに含まれるプロフィリンを大量に摂取すると、脾臓の肥大を伴う汎血球減少症(赤血球、白血球、血小板のすべてが減る状態)を発症する危険性が示されています。また肝機能に影響し、光過敏症を引き起こす可能性もあります。

サポニン

 サポニン(saponin)とは植物界に広く分布する配糖体の一種。水溶液の状態では著しい起泡性(泡立ちやすい)をもち、溶血作用を示すとされている化合物です。
 アルファルファが発芽してから8日目までの間に少しずつサポニンが蓄積されるものの、人間に対して有害な量になることはないとされています。またアルファルファのサポニンはメディカジェニック酸グリコシドとソヤサポニンの2種類で全体の約90%が占められており、これらのサポニンが人間に対して有害であるとの報告はありません。

フィトエストロゲン

 フィトエストロゲン(phytoestrogen)とは植物に含まれる成分のうち、女性ホルモンの一種「エストロゲン」と似た作用を持ったもののこと。アルファルファにはクメストロール、クメスタン、スピナステロールという形で含まれています。
 妊娠中の女性が大量に摂取すると悪影響が出る危険性が示されています。また乳がん、子宮がん、卵巣がん、子宮内膜症、子宮筋腫など、エストロゲンが発症に関わっている各種の疾患を悪化させる懸念もあります出典資料:アメリカ国立衛生研究所

カナバニン

 カナバニン(canavanine)はアルファルファの種やスプラウトに含まれているアミノ酸の一種。「L-アルギニン」と構造が似ていることから、体の中で間違ってピッキングされ、それを元にタンパク質が構成されます。その結果、正常とは違う構造や作用を持ったタンパク質が形成され、生体内で機能不全を引き起こします。
 人間が大量に摂取した場合、ループス(紅斑)のような症状が現れます。危険なのはスプラウトより、芽を出していない種子の状態のアルファルファです。

グリホサート

 グリホサート(glyphosate)は1970年代前半から世界中で使用されている除草剤の一種。日本においては2006年、この除草剤に対して耐性を持った遺伝子組み換え作物「ラウンドアップ・レディー・アルファルファJ101系統」と「ラウンドアップ・レディー・アルファルファJ163系統」が厚生労働省によって認可されています出典資料:遺伝子組換え食品
 人間向けの食品としては、播種後3~7日のスプラウトがサラダの形で生食されています。スプラウト生産は室内でおこなわれるため、グリホサートを含む除草剤が使用されることはありません。
 一方、海外から輸入された遺伝子組み換えアルファルファは、茎葉を粉砕・圧縮して固形化したものが健康食品として用いられています。 日本のペットフード安全法によるグリホサートの上限値は15ppm(=ペットフード1kg中15mg)です。
猫におけるアルファルファの安全性、危険性、および適正量に関してはよくわかっていません。グリホサートの最新情報については「農薬グリホサートによるキャットフード汚染の実態」をご覧ください。