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農薬「グリホサート」によるキャットフード汚染の実態

 近年、人に対する発がん性があるとして騒がれた農薬「グリホサート」。最新の調査により、日本国内だろうと海外だろうとキャットフードがこの除草剤によって汚染されている危険性が示されました。

グリホサートによるペットフード汚染

 調査を行ったのは、アメリカにあるコーネル大学微生物学部のチーム。ニューヨーク・トンプキンス郡にある小売店(PetSmart)などで市販されていた犬猫用ペットフード8ブランド18商品を対象とし、中に含まれているグリホサートの濃度をELISAと呼ばれる手法を用いて調べました。
グリホサート
 グリホサート(glyphosate)は1970年代前半から世界中で使用されている除草剤の一種。商標名としては「ラウンドアップ®(RoundUp)」などが有名。 モンサント社が開発したグリホサート系除草剤「Roundup」  アメリカ国内ではここ40年の間で使用量が100倍近くに急増しているにもかかわらず、公的な機関がしっかりとした危険性の検証していないことから問題視されている。2015年には国際がん研究機関(IARC)が人に対しておそらく発がん性がある(グループ2A)と発表したことから話題になった。
 調査の結果、すべての商品からグリホサートが検出されたといいます。具体的には乾燥重量中に78.3~2,140μg/kg、平均357μg/kg、中央値198μg/kgという結果でした。含有量はフードに含まれるタンパク質や脂質とは無関係でしたが粗繊維の含有量と連動していることが明らかになりました。このことからグリホサートは植物原料由来だと推測されています。
 人間における成人体重1kg当たりの摂取量を4.5μgとすると、犬や猫の摂取量は中央値をとった場合が12μg、最高値をとった場合が127μgと推定されました。これは人間の2.6~28倍に相当する値です。
 こうしたデータから調査チームは人間に比べて犬や猫はグリホサートによる影響を受けやすい状態にあると警鐘を鳴らしています。アメリカ合衆国環境保護庁(EPA)ではグリホサートを「最も毒性が低い」(class IV)成分として分類しているものの、微量を長期的に摂取した場合の影響に関しては世界中の誰も調査していないため、哺乳動物に対する安全性(危険性)の早急な確認が必要だと警告しています。
Detection of glyphosate residues in companion animal feeds
Jiang Zhao, Steven Pacenka, Environmental Pollution(2018), doi:10.1016/j.envpol.2018.08.100

グリホサートの発がん性

 ペットフードに100%の確率で含まれており、犬や猫においては体重1kg当たりの摂取量が人間よりも多くなると推測されている農薬グリホサート。この除草剤は実際、どの程度安全なのでしょうか?1974年の登場以来、世界中で爆発的に使用量が増えたこの除草剤に関しては近年、「本当は危険なんじゃないの?」と心配する声が強まっています。

グリホサートは安全派

 グリホサートがこの世に登場したのは1970年。開発したのはアメリカのモンサント社で、1974年からは「ラウンドアップ©」の商標名で早くも流通が始まりました。
 グリホサートは葉や茎から植物の体内に取り込まれ、「EPSPS」と呼ばれる酵素の働きを阻害することによりほとんどの雑草を枯死させることができます。グリホサートが安全であると主張する人の根拠は、「EPSPSは脊椎動物の細胞内に含まれていないから人体に及ぼす影響はないか、あったとしても微小」というものです。 穀物畑に大量に散布されるグリホサート系除草剤  アメリカで登場した後、ヨーロッパを中心として使用が広がり、現在ではEU(ヨーロッパ連合)内の多くの国で登録販売されています。各国におけるリスク評価機関が参考にしているのは、主としてGLP試験(動物実験を主体とした安全性試験)の国際ガイドラインに従って行われた実験成績です。しかしこうしたデータは「企業秘密」や「知的財産」を理由に公開されていないことがしばしばあり、利害関係を持たない第三者が客観的な目で査読できない状態になっています。以下は「グリホサートは少なくとも発がん性に関しては安全」と言い張っているリスク評価機関の一例です。
各国のリスク評価機関
  • EFSA(2015年11月)欧州食品安全機関(EFSA)は利用可能な全ての試験を総合的に判断した結果、グリホサートがヒトに対して発がん性を発揮するという根拠はなく、CLP1規則に基づく分類および表示は必要ないとの結論に至った。
  • EPA(2017年12月)米国環境保護庁(EPA)はグリホサートとがんとの関連性に関する疫学、動物学、遺伝学的なデータベースを参照して徹底的に精査した結果、製品ラベルに従って使用する限り、人に対する発がん性は認められないとの結論に至った。
  • BfR(2015年11月)ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)はIARCが査読したものも含め、現在入手可能な全ての論文を精査した。その結果、目的に応じて適切に使用すれば、グリホサートがヒトに対して発がん性を発揮することはないとの結論に至った。この結論は、スウェーデンを除くEU加盟国の専門家およびEFSAも支持している。

グリホサートは危険派

 各国の行政機関がグリホサートの安全性を部分的に保証している一方、WHO(世界保健機構)の関連組織であるIARC(国際がん研究機関)は2015年7月、グリホサートをグループ2A、すなわち「ヒトに対しておそらく発がん性がある」物質として再分類しました。
 IARCが基にしたデータは、除草剤のメーカーが行政機関に提出したお手盛りの動物実験成績ではなく、第三者が行った上で公開されている数百に及ぶ調査報告です。要するに、実験室内で高濃度の農薬にさらされた人間以外の動物のデータではなく、環境内で低濃度の農薬にさらされた人間やその他の動物のデータも含まれるということです。リアルな世界における農薬の影響を改めて精査したと言い換えることもできるでしょう。その結果、グリホサートと非ホジキン型リンパ腫との因果関係を否定できないとの結論に至りました。

グリホサートの基準値

  IARC(国際がん研究機関)が「危険かもしれない」という立場を表明したにもかかわらず、各国の行政機関は従来の姿勢を変える気はないようです。例えば以下はグリホサートが使用されている国におけるヒトの摂取上限値です。IARCの発表を受け、数値を引き下げた国は1つもありません。
グリホサートの摂取上限
  • EFSAおよびEUADI=0.5mg/kg(体重)/日
    ARfD=0.5mg/kg(体重)/日
  • アメリカcRfD=1.75mg/kg(体重)/日
  • オーストラリアADI=0.3mg/kg(体重)/日
ADI(一日摂取許容量)=毎日一生食べ続けても健康に悪影響が生じないと推定される量
ARfD(急性参照用量)=ヒトがある物質を24時間又はそれより短い時間経口摂取した場合に健康に悪影響を示さないと推定される一日当たりの摂取量
cRfD(慢性参照用量)=米国におけるADI

日本におけるグリホサート

 グリホサートは1980年、「グリホサートイソプロピルアミン塩」が日本において最初に農薬として登録され以来、「グリホサートアンモニウム塩」(1990年)、「グリホサートカリウム塩」(2003年)という順番で登録されています。1991年に特許が失効してからは本家モンサント社以外のメーカーでも「ジェネリック農薬」という形で製造販売ができるようになり、現在ではさまざまなメーカーが50種類近い商品を販売しています。
 2008年3月、スーパーで購入したペットボトル緑茶を飲んだ東京都の男性が急性中毒症状(下痢)を示し、中からグリホサートイソプロピルアミン塩が検出されたという事件を覚えている人もいるのではないでしょうか。

安全性に対する姿勢

 日本国内では2016年7月、IARC(国際がん研究機関)による発がん性の再分類を受けた食品安全委員会が急遽農薬に関する再評価を行い、以下のような結論に至っています。
グリホサートを用いた各種毒性試験結果から、グリホサート投与による影響は主に体重(増加抑制)、消化管(下痢 | 盲腸重量増加 | 腸管拡張 | 腸管粘膜肥厚等)および肝臓(ALP増加 | 肝細胞肥大等)に認められた。神経毒性、発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性および遺伝毒性は認められなかった。
 委員会が元としたデータは主として、日本国内や海外で行われた動物実験の結果です。要するに世界各国のリスク評価機関と同様、実験室内で人間以外の動物を対象として行われた試験の結果を押し広げ、「まぁ人間にも当てはまるだろう」と拡大解釈しているということです。また農業工業会でも同様のポジションステートメントを公表しています。

日本人の基準値

 食品安全委員会は農薬の安全性を検討すると同時に、人間におけるグリホサートの摂取上限値を定めました。
 公開されている農薬評価書によると、日本人の一日摂取許容量(ADI)は「1mg/kg(体重)/日」になっています。つまり体重50kgの人なら1日50mgのグリホサートを毎日摂取し続けても影響はないという計算です。基準値の根拠は、各試験で得られた無毒性量のうち最小値はどれも「100mg/kg(体重)/日」なので、安全係数100で割った値は十分安全だろうというものです。ちなみに試験の具体的な内容としてはラットを用いた90日間亜急性毒性試験、イヌを用いた90日間亜急性毒性試験及び1年間慢性毒性試験、ウサギを用いた発生毒性試験が挙げられています。
 一方、急性参照用量(ARfD)は設定されていません。根拠は、グリホサートの単回経口投与による無毒性量のうち最小値がマウスの1,000mg/kg(体重)であり、この値は実際に摂取しうる最大量のカットオフ値(500mg/kg)より十分大きかったからです。なお「急性参照用量」(ARfD)とはヒトがある物質を24時間又はそれより短い時間経口摂取した場合に健康に悪影響を示さないと推定される一日当たりの摂取量を意味します。

ペットフードの基準値

 ペットフード安全法ではグリホサートの上限値が15ppm(=ペットフード1kg中15mg)と定められています。
 仮にペットフードに最大量である15ppmのグリホサートが含まれており、猫がフードを1日80g食べるとするとグリホサートの1日摂取量は1.2mgになります。猫の体重が4kgと仮定すると、体重1kg当たりの摂取量は単純計算で0.3mgになるでしょう。この値は人間に設定されている0.75mgを下回っていますので、理論上は安全圏ということになります。

残留農薬チェックシステム

 日本国内にあるあらゆる作物の耕作地で広く用いられている、数十種類のグリホサート商品は、どの程度食物の中に残留しているのでしょうか?
 2006年、食品衛生法が改正されてポジティブリスト制度が導入されたことにより、すべての食品に残留農薬基準値が設定されました。この制度により日本国内で流通している食品にはそれぞれ基準値が定められています。また海外における基準値も調べ、国内基準を超える輸入品が入ってきていないかどうかをランダムチェックしています。 代表的な食品中に認められているグリホサートの残留基準値一覧  ペットフードに関してはFAMIC(農林水産消費安全技術センター)が抜き打ち検査を行っています。例えば2015年9月に行われたテストの結果では、いずれも「無」と判定されています。しかしこの判定の意味は、ペットフードにグリホサートが含まれていなかったということではなく、上限を超えていなかったという意味です。ひょっとすると14ppmというギリギリの濃度で含まれていたかもしれません。また検査項目として常にグリホサートが含まれているわけではありませんので、ペットフードがどの程度汚染されているのかに関しては不明な部分も多々あります。

飼い主の注意点と心がけ

 犬や猫の健康を守る立場にある飼い主として意識すべきポイントは以下になるでしょう。
  • グリホサートは日本を含めた世界中で使用されている
  • グリホサートは今後も使用量が増えると推測される
  • ペットフードには高い確率でグリホサートが含まれる
  • 食物繊維の量とグリホサートの含有濃度が連動する可能性がある
  • 犬や猫は体重1kg当たりの摂取量が人間の4~12倍になることがある
  • 微量のグリホサートを長期的に摂取した時の副作用に関しては、世界中の誰も知らない
 各国のリスク評価機関が「安全である」と主張している一方、IARC(国際がん研究機関)は「危険かもしれない」と主張しています。グリホサート単体ではなく、界面活性剤や不活性物質を含めた「グリホサート含有製品」(農薬カクテル)が動物や環境にもたらす影響に関してはよくわかっていません。人間向けの食事にしてもペット向けの食事にしても、今後長期的なモニタリングが必要となるでしょう。実証データが蓄積された数年後には「実は発がん性がありました!」と、これまで農薬を認可してきたはずの機関が突然手のひらを返すかもしれませんので。実際アメリカのカリフォルニア州では、グリホサートを主な成分として含む商品に発がん性があると認め、2017年7月7日以降、警告ラベルがない商品の販売が禁止されました。

グリホサートへの今後の懸念

 アメリカ、イギリス、カナダにある複数の大学からなる共同調査チームは2016年、「Environmental Health」誌上において「Statement of Concern」(懸念表明)を公開し、グリホサートによる地球全体に対する悪影響への懸念を世界中の科学者、医療関係者、リスク管理機関に向けて発信しました。以下はその骨子です。日本に暮らしている人やペットにも無関係ではありませんので、ぜひご一読ください。
Statement of Concern
  • グリホサートは世界中で最も広く使用されている除草剤であり、今後も使用量が増え続けると考えられる
  • 世界規模で見たときグリホサートは飲み水、雨、大気を汚染しており、特に農耕地域では顕著である
  • 水の中における半減期はこれまで考えられてきたよりも長い
  • グリホサートとその代謝産物は世界中で流通している農薬耐性作物(特に大豆)の中に見られる
  • 人間に対する曝露量は今後も増えていくだろう
  • グリホサートは人間に対しておそらく発がん性があると公的に認識されている
  • アメリカやEU圏内における1日の許容摂取量は古い動物実験データに基づいており信頼性に欠ける
  • 国の機関が主導して安全性の再評価を行うべきである
  • EUが採用しているADIを現行の1/3(=0.17mg/kg/day)にすべき
  • アメリカが採用しているcRfDを現行の1/15(=0.12mg/kg/day)にすべき
Concerns over use of glyphosate-based herbicides and risks associated with exposures: a consensus statement
John Peterson Myers et al., Environmental Health 201615:19, doi.org/10.1186/s12940-016-0117-0

農薬使用量の激増

 グリホサートがアメリカ国内に登場した1974年から2015年までの間で、使用量はおよそ100倍に激増したと見られています。
 1996年、アメリカ国内で最初の遺伝子組み換え作物が認可された時点におけるグリホサートの使用量は、使用された除草剤のわずか3.8%に過ぎませんでした。ところが2007年にEPA(米国環境保護庁)が行った推計によると、使用量は8,160~8,390万kgに激増し、USGS(アメリカ地質調査所)の推計では2009年度に使用された除草剤の53.5%を占めていたとされています。さらに2014年にNASS(農業統計局)が行った推計では、アメリカ国内におけるグリホサートの使用量が1億880万kgにまで増えたとも。
 グリホサートに耐性をもった雑草の出現や、グリホサート耐性の遺伝子組み換え作物の増加に伴い、今後さらに使用量が増えていくものと推測されています。現にEPAは2014年末、グリホサートと「2,4-D」を成分として含む「Enlist Duo」と呼ばれる除草剤に関し、使用許容量の大幅な引き上げを行いました。 遺伝子組み換え作物の栽培国一覧地図(2012年)  日本でも2014年の時点で290品目に及ぶ遺伝子組換え食品や添加物が安全性審査をクリアしたとされ、1996年以降世界中から輸入されています。この中にはグリホサート耐性作物も含まれていますので、遺伝子組み換え品目が増えれば増えるほどグリホサートを摂取する機会も増えていくことでしょう。

農薬による環境汚染

 グリホサートはとうもろこし、大豆、菜種、小麦、大麦、食用豆類などの主要作物を栽培する際に使用されます。その結果、作物のみならず土壌や水の中にもグリホサートが混入して環境を汚染します。
 例えば作物の汚染では、グリホサート耐性の大豆からほぼ100%の確率でグリホサートやその代謝産物であるAMPA(アミノメチルホスホン酸)が検出されるとのこと。残留濃度を変動させていると考えられるのは、主成分に混ぜられるアジュバントや界面活性剤などです。またイギリスなど湿度が高く温暖な気候の地域では、収穫の1~2週間前に除草剤をまいて乾燥を促す「green burndown」と呼ばれる栽培法が採用されます。その結果、収穫期の後半になるほど作物内に除草剤が残りやすくなると言います。 農作物の栽培面積とその中に占める遺伝子組換え作物の面積占有率  その他、雨によって洗い流されたグリホサートは雨水や農業排水となって地下水に流れ込み、巡り巡って飲み水を汚染します。さらに土壌の質によってグリホサートの半減期が大きく異なるため、場所によっては高濃度に蓄積してしまうこともあります。

農薬曝露量の増加

 作物へのグリホサート使用量が増えると、その作物を消費する人間の曝露量も当然のことながら増えます。
 2012年10月、「UK-Food Standard Agency」が109サンプルのパンを調査したところ、グリホサートを0.2mg/kg超の濃度で含有していたものが27サンプル見つかったと言います。また2011年、「US Department of Agriculture」が大豆製品300種のうちグリホサート(1.9 ppm)が90.3%から、AMPA(2.3ppm)が95.7%から検出されたとも。
 もっと顕著な例は、カリフォルニア南部にあるランチョバーナードに暮らす百人の高齢者を対象とした調査です(→Paul J. Mills, 2017)。カリフォルニア大学が行ったこの長期調査では、1993年から1996年と2013年から2016年という2期に渡って尿サンプルを採取し、中に含まれるグリホサートの濃度が比較されました。その結果、検知可能レベル(0.03μg/L)を超える濃度の人に関し、1990年代で12%だったのが2010年代には70%にまで激増したと言います。全体的には、グリホサートの尿中濃度がおよそ13倍(0.024→0.314μg/L)に高まったとのこと。
 日本国内においては農薬・動物用医薬品部会が日本人1人当りの理論上の最大1日摂取量(TMDI)を試算しています(→出典)。 日本人1人当りの理論上の最大1日摂取量(TMDI)  ADI(一日摂取許容量)のうちに占める割合が高齢者(65歳以上)の6.7%から幼小児(1~6歳)の17.0%まで幅があるようです。中でも「小麦」を経由したグリホサートの摂取量が全体の40~45%に達しています。グリホサートに耐性を持った小麦を海外から輸入している限り、日本に暮らしていたとしても農薬への曝露リスクが消えないということです。

農薬の隠れた副作用

 これまで人間にとって安全であると考えられている低い容量のグリホサートでも、後の調査で体にさまざまなダメージを与える危険性が示唆されています。以下は一例です。
グリホサートの悪影響
  • 肝毒性・腎毒性ラットを対象とした調査では、低濃度であってもミトコンドリア内における代謝が阻害され、肝臓や腎臓に障害が生じる | グリホサートと硬水が使用されている農場で働く作業員では慢性腎臓病が増加する | 脂肪細胞や筋肉に比べ、腎臓や肝臓の組織では10~100倍近いグリホサートが検出される
  • 催奇形性妊娠中のラットが低濃度のグリホサートにさらされると、生まれてきた雄の生殖器官に障害が生じる | グリホサートを含んだ飼料を与えられた豚では先天的な奇形の割合が増える | 遺伝子組み換え作物が栽培されているアルゼンチンやパラグアイの農場近くで暮らしている人々の間で豚で発生したのと同様の奇形が報告されている | 胎児が母体内で発達する過程におけるレチノイン酸の活性に影響を及ぼす可能性がある
  • 発がん性1975年から2006年の期間、非ホジキン型リンパ腫の新規診断数が倍増した
  • ミネラルバランスを崩す亜鉛、コバルト、マンガンと言った微量元素のキレートエージェントとしてこれらのミネラルを分離し、穀物、人間、野生動物、ペット、家畜の体内におけるバランスを乱す | ミネラルバランスの乱れは腎臓や肝臓の障害として現れやすい
  • 腸内細菌を乱す抗生物質としての特性を有しており、脊柱動物の腸内細菌バランスを崩す | 薬剤耐性菌の誕生を促進する
 動物を対象として過去に行われた多くの調査では、LD50(半数致死量)、LOAEL(最小毒性量)、NOAEL(無有害作用量)など、かなり高濃度で投与した時の影響しか検証されていません。言い方を変えれば、現実世界で起こりうる「低濃度+長期」曝露の影響はよくわかっていないということです。実験室ではラットやマウスなど短命な動物が調査対象となります。それに対し人間は数十年も生きる長命な動物です。1970年に登場してまだ50年も経っていないグリホサートの本当の影響力に関しては、世界中の誰もわかっていないのが現状なのです。