とうもろこし(コーン)の成分
とうもろこし(コーン)はイネ科の一年生植物で世界三大穀物の一つに数えられています。主成分は炭水化物に属する「でんぷん」です。とうもろこしはさらに味によってスイートコーン、色によって白色粒や黄色粒、硬さによって軟粒(ソフトコーン)や硬粒(フリントコーン)などに細分されますが、ペットフードにおいてはここまで細かく表記されません。
キャットフードにおける一般的なラベル表記例は以下です。
キャットフードラベル中に見られるとうもろこし(コーン)
- とうもろこし
- コーン
- コーングルテンコーングルテンとは、とうもろこしを砕いてでん粉(コーンスターチ)を製造する際に発生する副産物のことで、遠心分離されたとうもろこしのタンパク質(グルテン)溶液を濃縮、脱水、乾燥させたものです。
- コーングルテンミールコーングルテンミールとはコーングルテンをさらに粉状(ミール)に加工したものです。
- コーンフラワーコーンフラワーとはとうもろこしを挽いて粉状にまで小さく砕いたもののことです。
- ホミニーフィードホミニーフィード」とはとうもろこしを挽いてコーングリッツ(ひき割りとうもろこし)やコーンフラワー(とうもろこし粉)を製造した時の副産物で、とうもろこしの胚芽、皮などが含まれます。
とうもろこし(コーン)は安全?危険?
とうもろこし(コーン)を猫に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?
とうもろこしの消化性
とうもろこし(コーン)の中でも特にコーングルテンミールはキャットフードのタンパク源として主流で、ラベルのトップに表記されていることも少なくありません。しかし同じくタンパク源として用いられるミートミール、チキンミール、フィッシュミールなどと比較した調査では、ドライフードの消化率という観点から見たとき、コーングルテンミールの方が優れているという結果は出ていないようです。平たく言うとコーングルテンミールは他のミールに比べて消化が悪く便秘になりやすいとなります。
ミートミールとの比較結果
ミートミールとコーングルテンミールを比較した給餌試験では、タンパク源としてはミートミールの方が優れているとの結論に至っています(:Funaba, 2002)。
2種類のミールを与えられた猫を対象として実験を行ったところ、尿のpH、ストラバイト生成量、ストラバイト結晶の数、尿沈渣に違いはなかったものの、コーングルテンミールよりもミートミールの方が以下の点において上回ったとのこと。
2種類のミールを与えられた猫を対象として実験を行ったところ、尿のpH、ストラバイト生成量、ストラバイト結晶の数、尿沈渣に違いはなかったものの、コーングルテンミールよりもミートミールの方が以下の点において上回ったとのこと。
- 乾燥物質の消化率と摂食量
- 糞便中の水分含有量
- 見かけの窒素吸収量と窒素保留量
- カルシウム、リン、マグネシウム保留量
フィッシュミールとの比較結果
フィッシュミールとコーングルテンミールの給餌試験では、コーングルテンミールの方が便秘になりやすいかもしれないと指摘されています(:Funaba, 2001)。
摂食量、飲水量、尿量、乾燥物質の消化率、尿中への窒素排出量、尿のpHに違いはなかったものの、コーングルテンミールの方が糞便中の水分含有量が少なかったとのこと。要するに少し便が固くて外に出にくいということです。
摂食量、飲水量、尿量、乾燥物質の消化率、尿中への窒素排出量、尿のpHに違いはなかったものの、コーングルテンミールの方が糞便中の水分含有量が少なかったとのこと。要するに少し便が固くて外に出にくいということです。
チキンミールとの比較結果
ミートミール(MM)、チキンミール(CM)、コーングルテンミール(CGM)を比較した給餌試験では、タンパク源としてはミートミールが最もよく、次いでチキンミール、コーングルテンミールの順になったといいます(:Funaba, 2005)。
3種のミールを給餌したところ、尿はすべてアルカリでカルシウムとマグネシウムの保有量に違いは見られなかったものの、乾燥物質の消化率に関してはMM>CM>CGM、窒素吸収量と窒素保有量に関してはMM>CMおよびCGMという格差が見られたとのこと。
3種のミールを給餌したところ、尿はすべてアルカリでカルシウムとマグネシウムの保有量に違いは見られなかったものの、乾燥物質の消化率に関してはMM>CM>CGM、窒素吸収量と窒素保有量に関してはMM>CMおよびCGMという格差が見られたとのこと。
フモニシン
フモニシン(fumonisin)は1988年に発見されたカビ毒の一種。フザリウム属のカビから作られ、A群、B群、C群、P群の4群に分類されます。食品安全委員会が2004年~2015年の期間、日本国内で行った調査では、コーングリッツ、コーンスナック、ポップコーン及びコーンフレークなどのとうもろこし製品から50%以上の頻度で検出されたとのこと(:食品安全委員会)。
遺伝毒性はないと考えられているものの、精製したフモニシンB-1を経口投与した実験動物のほとんどで肝毒性や腎毒性が確認されています。また慢性毒性・発がん性試験ではマウス(メス)に肝腫瘍、ラット(オス)に腎腫瘍が発生しています。日本国内では動物実験の結果から、耐容一日摂取量(TDI)が体重1kg当たり1日2μgまでと設定されています(:食品安全委員会)。
ペットフードに関してはFAMIC(独立行政法人農林水産消費安全技術センター)がフード中のフモニシンとゼアラレノン(カビ毒の一種)の分析法を開発し、公定法として認められました(:FAMIC)。ペットフード安全法で上限値が設定されていませんが、抜き打ち検査等で高い汚染率が確認された場合は、将来的に項目として追加されるかもしれません。理想は、ペットフードメーカーが自主的に検査を行い、安全性を確認することです。
ペットフードに関してはFAMIC(独立行政法人農林水産消費安全技術センター)がフード中のフモニシンとゼアラレノン(カビ毒の一種)の分析法を開発し、公定法として認められました(:FAMIC)。ペットフード安全法で上限値が設定されていませんが、抜き打ち検査等で高い汚染率が確認された場合は、将来的に項目として追加されるかもしれません。理想は、ペットフードメーカーが自主的に検査を行い、安全性を確認することです。
グリホサート
グリホサート(glyphosate)は1970年代前半から世界中で使用されている除草剤の一種。商標名としては「ラウンドアップ(RoundUp)」などが有名です。
アメリカにあるコーネル大学微生物学部のチームが行った調査によると、キャットフードには高い確率でグリホサートが含まれていると言います。含有量はフードに含まれるタンパク質や脂質とは無関係でしたが粗繊維の含有量と連動していることが明らかになりました。このことからグリホサートは植物原料由来の可能性が高いとのこと。 2011年における調査では、世界中で栽培されているとうもろこしのおよそ30%が遺伝子組み換えであると推計されています。今後グリホサートの使用は拡大すると見込まれていますので、上記した割合はさらに増え続けることでしょう。その結果、基準値を超える割合でグリホサートを含んだとうもろこしが巡り巡ってペットフードに混入してしまうかもしれません。
アメリカにあるコーネル大学微生物学部のチームが行った調査によると、キャットフードには高い確率でグリホサートが含まれていると言います。含有量はフードに含まれるタンパク質や脂質とは無関係でしたが粗繊維の含有量と連動していることが明らかになりました。このことからグリホサートは植物原料由来の可能性が高いとのこと。 2011年における調査では、世界中で栽培されているとうもろこしのおよそ30%が遺伝子組み換えであると推計されています。今後グリホサートの使用は拡大すると見込まれていますので、上記した割合はさらに増え続けることでしょう。その結果、基準値を超える割合でグリホサートを含んだとうもろこしが巡り巡ってペットフードに混入してしまうかもしれません。
日本における人間向けとうもろこしの残留基準値は「5ppm」、ペットフード安全法では上限値が「15ppm」(=ペットフード1kg中15mg)と定められています。詳しくは「農薬「グリホサート」によるキャットフード汚染の実態」をご参照ください。