クランベリーの成分
クランベリー(cranberry)はつる性で常緑の細長い茎をつける常緑低木。ツルコケモモとも呼ばれます。
花は白から桃色で、果実は赤色の1~1.5cm大です。主にカナダのニューファンドランドからマニトバにかけての地域や、アメリカのバージニア州、オハイオ州、イリノイ州北部にかけて広がる寒帯・酸性の沼地に生育しています。
果実は非常に酸味が強いため生のまま食べることはほとんどなく、お菓子、ジャム、クランベリージュースなどの形で食されます。またカナダとアメリカの感謝祭で七面鳥の丸焼きに添えるクランベリーソースが有名です。 ペット向けとしても人間向けとしてもサプリメント(錠剤やパウダー)という形で販売されていますが、日本国内においてクランベリー(ツルコケモモ)の果実と葉は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」とされていますので、「膀胱炎によい」「肌に良い」「かぜやインフルエンザの予防によい」など医薬品であるかのような誤解を招く表現は使えません。
果実は非常に酸味が強いため生のまま食べることはほとんどなく、お菓子、ジャム、クランベリージュースなどの形で食されます。またカナダとアメリカの感謝祭で七面鳥の丸焼きに添えるクランベリーソースが有名です。 ペット向けとしても人間向けとしてもサプリメント(錠剤やパウダー)という形で販売されていますが、日本国内においてクランベリー(ツルコケモモ)の果実と葉は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」とされていますので、「膀胱炎によい」「肌に良い」「かぜやインフルエンザの予防によい」など医薬品であるかのような誤解を招く表現は使えません。
クランベリーは安全?危険?
クランベリーを猫に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?以下でご紹介するのはクランベリーに関して報告されている安全性もしくは危険性に関する情報です。
プロアントシアニジン
プロアントシアニジン(proanthocyanidin, PACs)は植物の葉、果実、樹皮、材などに広く含まれるポリフェノールの一種。この物質が猫の尿路感染症の発症リスクを低下させる可能性が示されています。
メカニズムは完全に解明されていませんが、ブドウやチョコレートとは違い、クランベリーのポリフェノールが分子構造の中に二重結合(A-type)を有していることが関わっていると考えられています。具体的には、大腸菌が上皮細胞に接着するときに利用する尿路上皮細胞の粘膜上皮と構造的に似ているため、菌が粘膜に接着する数を減らしてくれるというものです(:Howell, 2010)。 フランスのセルジーポントワーズ大学はCRFK細胞(ネコ腎由来株化細胞)に対する病原性大腸菌(ヒトの尿路感染症患者から分離されたG1473株)の接着性がクランベリー抽出物(プロアントシアニジン25%超)によってどのように変化するかを検証しました。その結果、大腸菌の増殖抑制効果は5mg/mLというかなり高濃度のときだけ確認されたといいます。一方、細胞への接着性に関しては0.078~5mg/mLという濃度変化に連動する形で低下傾向を示したとも。最大濃度(5mg/mL)のときの接着抑制率は70.5%にまで達したそうです(:Mayot, 2018)。 上記したのはあくまでも実験室レベルの現象です。では実際に猫に投与したときに同様の効果が見られるのでしょうか?イタリア・トリノ大学の調査チームは特発性膀胱炎(FIC)と診断されたペット猫21頭をランダムで10頭と11頭からなる2グループに分け、前者にだけクランベリー抽出成分60mgを含んだタブレット型のサプリメント(プロアントシアニジン11.5mg相当)を1日1回給餌して60日間に渡る調査を行いました(:Colombino, 2022)。
下部尿路および消化管の症状を給餌開始前→15日目→30日目→60日目のタイミングで評価した結果、どちらのグループでも30日目には排尿障害や不適切な場所での排泄に改善が見られたといいます。一方、下部尿路症状の消失に関しては投与グループでのみ60日目に見られました。また消化管(便秘・下痢・嘔吐)および膀胱の超音波検査でも改善が確認されたとも。ただし使用されたタブレットにはクランベリーパルプ以外に11種類の成分が含まれており、猫の症状を評価したのは素人の飼い主ですので、決定的と言うより予備的な調査結果という位置づけになります。 ISCAID(コンパニオンアニマル感染症国際協会)がまとめたガイドラインでは、再発性の膀胱炎、無症候性の細菌尿、カテーテル関連性の細菌性膀胱炎に対し、クランベリーが有効であるというエビデンス(医学的な証拠)は存在しないとの立場を明言しています。ただし、安全料の範囲内であれば禁忌(使用してはいけない基準)は存在しないとも(:ISCAID, 2019)。要するに使う場合は「おまじない」感覚でということです。
メカニズムは完全に解明されていませんが、ブドウやチョコレートとは違い、クランベリーのポリフェノールが分子構造の中に二重結合(A-type)を有していることが関わっていると考えられています。具体的には、大腸菌が上皮細胞に接着するときに利用する尿路上皮細胞の粘膜上皮と構造的に似ているため、菌が粘膜に接着する数を減らしてくれるというものです(:Howell, 2010)。 フランスのセルジーポントワーズ大学はCRFK細胞(ネコ腎由来株化細胞)に対する病原性大腸菌(ヒトの尿路感染症患者から分離されたG1473株)の接着性がクランベリー抽出物(プロアントシアニジン25%超)によってどのように変化するかを検証しました。その結果、大腸菌の増殖抑制効果は5mg/mLというかなり高濃度のときだけ確認されたといいます。一方、細胞への接着性に関しては0.078~5mg/mLという濃度変化に連動する形で低下傾向を示したとも。最大濃度(5mg/mL)のときの接着抑制率は70.5%にまで達したそうです(:Mayot, 2018)。 上記したのはあくまでも実験室レベルの現象です。では実際に猫に投与したときに同様の効果が見られるのでしょうか?イタリア・トリノ大学の調査チームは特発性膀胱炎(FIC)と診断されたペット猫21頭をランダムで10頭と11頭からなる2グループに分け、前者にだけクランベリー抽出成分60mgを含んだタブレット型のサプリメント(プロアントシアニジン11.5mg相当)を1日1回給餌して60日間に渡る調査を行いました(:Colombino, 2022)。
下部尿路および消化管の症状を給餌開始前→15日目→30日目→60日目のタイミングで評価した結果、どちらのグループでも30日目には排尿障害や不適切な場所での排泄に改善が見られたといいます。一方、下部尿路症状の消失に関しては投与グループでのみ60日目に見られました。また消化管(便秘・下痢・嘔吐)および膀胱の超音波検査でも改善が確認されたとも。ただし使用されたタブレットにはクランベリーパルプ以外に11種類の成分が含まれており、猫の症状を評価したのは素人の飼い主ですので、決定的と言うより予備的な調査結果という位置づけになります。 ISCAID(コンパニオンアニマル感染症国際協会)がまとめたガイドラインでは、再発性の膀胱炎、無症候性の細菌尿、カテーテル関連性の細菌性膀胱炎に対し、クランベリーが有効であるというエビデンス(医学的な証拠)は存在しないとの立場を明言しています。ただし、安全料の範囲内であれば禁忌(使用してはいけない基準)は存在しないとも(:ISCAID, 2019)。要するに使う場合は「おまじない」感覚でということです。
シュウ酸塩
クランベリー抽出物の中にプロアントシアニジンとともに含まれているシュウ酸塩が尿路結石の発症リスクを高める危険性が示されています。
アメリカ・スタンフォード大学の調査チームはボランティア5人に市販のクランベリー抽出物タブレット(1粒450mgを1日2粒)を7日間に渡って与え、前後において尿の分析値にどのような変化が生じるかを検証しました。その結果、タブレットを摂取した後におけるシュウ酸塩の濃度が平均して43.4%も上昇したといいます。
1粒が2880mLのクランベリージュースに匹敵するというラベルから計算したときのシュウ酸塩摂取量は1日363mgと推計されました。調査チームは、「腎臓に良い」などという宣伝文句で売られているクランベリー抽出物のサプリメントが、逆に尿路結石(シュウ酸塩結石)のリスクを高めていることを、しっかりとラベルに記載すべきであると警鐘を鳴らしています(:Terris, 2001)。
アメリカ・スタンフォード大学の調査チームはボランティア5人に市販のクランベリー抽出物タブレット(1粒450mgを1日2粒)を7日間に渡って与え、前後において尿の分析値にどのような変化が生じるかを検証しました。その結果、タブレットを摂取した後におけるシュウ酸塩の濃度が平均して43.4%も上昇したといいます。
1粒が2880mLのクランベリージュースに匹敵するというラベルから計算したときのシュウ酸塩摂取量は1日363mgと推計されました。調査チームは、「腎臓に良い」などという宣伝文句で売られているクランベリー抽出物のサプリメントが、逆に尿路結石(シュウ酸塩結石)のリスクを高めていることを、しっかりとラベルに記載すべきであると警鐘を鳴らしています(:Terris, 2001)。
EFSA(欧州食品安全機関)では、1日192~219mgの摂取であれば問題ないとしています。体重50kgとすると1kg当たり1日3.8~4.4mg程度です。一方、猫における安全性、危険性、および適正量に関してはよくわかっていませんし、効果も不確かです。