子猫の出生時体重と死亡率
ペットフードメーカー「ロイヤルカナン」とフランス・トゥールーズ大学からなる共同チームは、特定の品種協会に登録されたいわゆる「純血種」の出生時体重と死亡率との関係を調べました。
調査対象
2016年から2020年の期間、専門誌、ダイレクトメール、Facebook、品種協会などを通じてアンケート配布し、フランス国内で純血種の繁殖に関わっている猫のブリーダーからボランティアベースで回答を募りました。
「出生時体重」を子猫が生まれた直後~生後数時間以内に計測された最初の体重値とし、体重データが欠落していた子猫、死産の子猫、最低個体数が100頭未満の品種に属する子猫を除外していった結果、最終的に194のキャッテリ(繁殖施設)から15品種に属する5,596頭分のデータが集まったといいます。
1品種に含まれる新生子の数はロシアンブルー(含ネベロング)の108からメインクーンの892まで幅があり、中央値は274。出生時の平均体重は85.5g(ペルシャ/エキゾチック)から119g(ノルウェジャンフォレストキャット)まで幅があり、平均は101.9 gでした。
「出生時体重」を子猫が生まれた直後~生後数時間以内に計測された最初の体重値とし、体重データが欠落していた子猫、死産の子猫、最低個体数が100頭未満の品種に属する子猫を除外していった結果、最終的に194のキャッテリ(繁殖施設)から15品種に属する5,596頭分のデータが集まったといいます。
1品種に含まれる新生子の数はロシアンブルー(含ネベロング)の108からメインクーンの892まで幅があり、中央値は274。出生時の平均体重は85.5g(ペルシャ/エキゾチック)から119g(ノルウェジャンフォレストキャット)まで幅があり、平均は101.9 gでした。
調査結果
死産子を除き、生後2ヶ月以内に死亡した子猫は全体の7.6%を占めていました。メス猫に比べオス猫の方が死亡率は高いと判定されたものの、その差はわずか0.1%(6.7% vs 6.6%)だったため生物学的には無視できるレベルとされました。また春生まれの子猫(5.9%)に比べ夏生まれの子猫(9.7%)の方が死亡率が高いことが明らかになりました。
子猫たちの体重を決定木(CART)分析によって3つに区分した結果、正常体重に属する個体が80.2%、低体重が17.9%、超低体重が1.9%という割合になりました。また死亡率は順に4.5%(203/4486)、16.5%(166/1004)、50.9%(54/106)となり、体重が軽いほど死亡率が高まるという明白な傾向が確認されました。
15品種における具体的な体重区分ライン(g)は以下です。赤が超低体重、青が低体重を示しています。
Association between Birth Weight and Mortality over the Two First Months after Birth in Feline Species: Definition of Breed-Specific Thresholds
Amelie Mugnier, Virginie Gaillard, Sylvie Chastant, Animals 2023, 13(11), 1822; DOI:10.3390/ani13111822
子猫たちの体重を決定木(CART)分析によって3つに区分した結果、正常体重に属する個体が80.2%、低体重が17.9%、超低体重が1.9%という割合になりました。また死亡率は順に4.5%(203/4486)、16.5%(166/1004)、50.9%(54/106)となり、体重が軽いほど死亡率が高まるという明白な傾向が確認されました。
15品種における具体的な体重区分ライン(g)は以下です。赤が超低体重、青が低体重を示しています。
品種名 | 低体重(g) | 超低体重(g) |
アビシニアン | 94 | 60 |
シャム系 | 82 | 78 |
ベンガル | 84 | 60 |
バーマン | 74 | 60 |
B.ショートヘア | 87 | 61 |
シャルトリュー | 100 | 60 |
エジプシャンマウ | 104 | 61 |
メインクーン | 81 | 75 |
N.フォレストキャット | 94 | 60 |
ペルシャ系 | 82 | 60 |
ラグドール | 84 | 60 |
ロシアンブルー | 86 | 60 |
スコティッシュ | 77 | 60 |
サイベリアン | 90 | 63 |
スフィンクス | 76 | 60 |
Amelie Mugnier, Virginie Gaillard, Sylvie Chastant, Animals 2023, 13(11), 1822; DOI:10.3390/ani13111822
子猫の低体重は死亡の危険因子
2019年にフランス国内で行われた調査では、子猫の出生時体重を問題視していたブリーダーは全体の1/4に過ぎなかったとされています。さらにスケールを用いて精密に計測するのではなく、目視だけでざっくりと体重を推測するケースも散見されたとのこと。
今回の調査により子猫の出生時体重と死亡率との間に明白な関連性が認められましたので、どんぶり勘定で体重を測るという横着はもはや許されないでしょう。特に「超低体重」に属する2%弱の子猫に対しては手厚い看護が必要となります。 日本とフランスのブリーダーが用いている繁殖ラインは同一ではないためデータの直輸入はできませんが、出生時体重が軽いほど死亡率が高まるという関連性は記憶に値します。例えば道端で拾った子猫が純血種でなかったとしても、上記した普遍的な知見があれば世話をする側の危機意識が高まり、それだけで子猫の生存チャンスが高まるかもしれません。
今回の調査により子猫の出生時体重と死亡率との間に明白な関連性が認められましたので、どんぶり勘定で体重を測るという横着はもはや許されないでしょう。特に「超低体重」に属する2%弱の子猫に対しては手厚い看護が必要となります。 日本とフランスのブリーダーが用いている繁殖ラインは同一ではないためデータの直輸入はできませんが、出生時体重が軽いほど死亡率が高まるという関連性は記憶に値します。例えば道端で拾った子猫が純血種でなかったとしても、上記した普遍的な知見があれば世話をする側の危機意識が高まり、それだけで子猫の生存チャンスが高まるかもしれません。
純血種ではない子猫の成長曲線は以下のページで解説してあります。標準を下回っている場合はくれぐれも油断なきようお願い致します。