猫のかかとの骨に現れる性別
調査を行ったのはトルコ・イスタンブール大学のチーム。人間を対象とした調査で確認されている踵骨(しょうこつ=かかとの骨)と性別との関連性が猫にもあるのかどうかを確かめるため、エックス線を用いた骨形態計測を行いました。
調査方法
調査の対象となったのは整形外科的な異常が見られないオス37頭とメス33頭。年齢は1~18歳でミックス種41頭+スコティッシュフォールド18頭+ブリティッシュショートヘア11頭という内訳です。
全頭の右後肢のかかとをエックス線で撮影し、ランドマークを定めて4つの直線計測値と2つの角度計測値を得ました。
全頭の右後肢のかかとをエックス線で撮影し、ランドマークを定めて4つの直線計測値と2つの角度計測値を得ました。
調査結果
調査の結果、3つの品種グループを隔てる決定因子はCBL(a)、CGL(b)、CSD(c)の3つで、中でもCBLの差異が顕著だったといいます(ミックスが最大)。またスコティッシュフォールドとブリティッシュショートヘアにおいて唯一見られた統計的に有意な差異はCTL(d)だけだったとも。さらにミックス種を毛色で4つのグループ(グレー・白黒・オレンジ・三毛)に分けた上で各グループ間の差異を調べたところ、すべての計測値においてグレーグループが最大という特徴が見られたものの、統計的に有意なレベルには至らなかったそうです。
一方、品種を度外視して性別だけに着目したとき、オスとメスとの間にあった統計的な有意差はすべて直線計測値で、全項目においてオス>メスという関係性が認められました(=オスの踵骨が大きい)。
Veterinary Medicine and Science(2022), Esra Senol, Ozan Gundemir, Sokol Duro et al., DOI:10.1002/vms3.899
一方、品種を度外視して性別だけに着目したとき、オスとメスとの間にあった統計的な有意差はすべて直線計測値で、全項目においてオス>メスという関係性が認められました(=オスの踵骨が大きい)。
オス♂ vs メス♀(cm)
- CBL:♂2.76 > ♀2.58
- CGL:♂2.86 > ♀2.64
- CSD:♂0.79 > ♀0.72
- CTL:♂0.87 > ♀0.78
Veterinary Medicine and Science(2022), Esra Senol, Ozan Gundemir, Sokol Duro et al., DOI:10.1002/vms3.899
猫の踵骨と考古学
143名の男女を対象として行われた調査では、踵骨のエックス線計測値が生物学的な性別の決定因になりうると報告されています。また男性の足根骨は女性のそれよりも直線計測値が長いという調査結果もあります。
こうした知見に着想を得て猫を対象として行われた今回の調査では、踵骨の直線計測値が性別を選り分ける際の重要な決定因になりうることが確かめられました。平たく言うとオス猫の踵骨はメス猫のものより大きいというものです。
猫の性別を見分ける方法は他にもたくさんありますので、一見すると無意味にも思えます。しかし踵骨は死後も風化せず残るという性質を持っていることから、考古学的な遺跡やエジプトのミイラなどから性別不明の猫の骨が発掘された場合には今回の発見が役に立ってくれるでしょう。
こうした知見に着想を得て猫を対象として行われた今回の調査では、踵骨の直線計測値が性別を選り分ける際の重要な決定因になりうることが確かめられました。平たく言うとオス猫の踵骨はメス猫のものより大きいというものです。
猫の性別を見分ける方法は他にもたくさんありますので、一見すると無意味にも思えます。しかし踵骨は死後も風化せず残るという性質を持っていることから、考古学的な遺跡やエジプトのミイラなどから性別不明の猫の骨が発掘された場合には今回の発見が役に立ってくれるでしょう。