ペットショップにいる猫の病原体保有率
調査を行ったのは東京都福祉保健局健康安全部環境保健衛生課。2011年6月から2015年10月の期間、東京都内において第一種動物取扱「販売」の登録を行っている、いわゆるペットショップを対象とし、施設内部で保管・飼養されている猫が一体どのくらいの割合で病原体を保有しているのかを検証しました。
合計54施設にいる113頭から糞便サンプル111、被毛サンプル112を採取し、猫において頻繁に見られる病原体の保有率を調べたところ以下のような割合になったといいます。
日獣会誌72, 495~499(2019)
合計54施設にいる113頭から糞便サンプル111、被毛サンプル112を採取し、猫において頻繁に見られる病原体の保有率を調べたところ以下のような割合になったといいます。
ペットショップにおける病原体保有率・猫編
- 皮膚糸状菌=3.6%
- ジアルジア=3.6%
- クラミジア=0.9%
- 病原大腸菌=0.9%
- サルモネラ=0.0%
- Q熱コクシエラ=0.0%
- 回虫卵=0.0%
- カンピロバクター=0.0%
- トキソプラズマ=0.0%
日獣会誌72, 495~499(2019)
「健康優良児」は当てにならない
3.6%(4検体)で検出されたジアルジアは猫に特有のAssemblageF(F型)が2検体、人獣共通の遺伝子型と考えられているAssemblageA(A型)が2検体という内訳でした。ペットショップで買ったばかりの子猫が自宅で下痢をしたという場合、環境の変化に伴うストレス(ニューオーナーシンドローム)のほか、そもそも病原体を腸管内に保有していたという可能性も否定できません。また子猫の糞便処理を行うのは飼い主ですので、猫から飼い主にジアルジアが感染するというルートも心配です。
0.9%(1検体)で検出された病原大腸菌は腸管病原性大腸菌(EPEC)で、血清型はO119:NMでした。この型は下痢症状を示した小児患者から分離されたこともあるため、人獣共通感染症としての警戒が必要だとしています。
3.6%(4検体)から検出された皮膚糸状菌症(Microsporum属)はいわゆる水虫菌の一種です。種特異性が強く人には感染しないとされていますが当然例外もあります。頭部に犬小胞子菌(Microsporum canis)が感染して発症する頭部白癬は、男女を問わず脱毛が起こりますので人獣共通感染症とみなしたほうが現実的でしょう。 総じて「健康優良児」と称して販売されている子猫たちは必ずしもそうではないという結果となりました。当調査における感染ルートは不明でしたが、劣悪な環境下で繁殖を繰り返す「キトゥンミル」→強いストレスがかかり免疫力が低下するオークション会場→しっかりとした健康チェックを行わないペットショップというルートを通じて病原体が蔓延する構図は容易に想像ができます。
0.9%(1検体)で検出された病原大腸菌は腸管病原性大腸菌(EPEC)で、血清型はO119:NMでした。この型は下痢症状を示した小児患者から分離されたこともあるため、人獣共通感染症としての警戒が必要だとしています。
3.6%(4検体)から検出された皮膚糸状菌症(Microsporum属)はいわゆる水虫菌の一種です。種特異性が強く人には感染しないとされていますが当然例外もあります。頭部に犬小胞子菌(Microsporum canis)が感染して発症する頭部白癬は、男女を問わず脱毛が起こりますので人獣共通感染症とみなしたほうが現実的でしょう。 総じて「健康優良児」と称して販売されている子猫たちは必ずしもそうではないという結果となりました。当調査における感染ルートは不明でしたが、劣悪な環境下で繁殖を繰り返す「キトゥンミル」→強いストレスがかかり免疫力が低下するオークション会場→しっかりとした健康チェックを行わないペットショップというルートを通じて病原体が蔓延する構図は容易に想像ができます。
繁殖業者からペットショップに至るまで、子猫たちがどのようなルートをたどるかに関しては姉妹サイト内の「日本のペット産業」をご参照ください。病原体を保有した子猫が売られている理由がわかるはずです。