多頭飼育崩壊・施設型 vs 家庭型
- アニマルホーディング
- アニマルホーディング(animal hoarding)とは自分自身の管理能力を無視して病的に動物を集めること(※ホールディングではありません)。あえて日本語に翻訳すると「病的な多頭飼育」で、適切な給餌を怠る、不衛生な飼養環境、病気になっても治療を受けさせないなどを特徴とする。
多頭飼育環境から飼育放棄された371頭の猫と、それ以外の環境から飼育放棄された6,359頭の猫の生還率(=里親に譲渡された率)を比較したところ、前者が95.9%、後者が92.5%で両者の間に統計的に有意な差は認められませんでした。また多頭飼育環境から飼育放棄された249頭とそれ以外の環境から飼育放棄された4,171頭の施設内滞在期間(=収容から譲渡までの期間)を比較したところ、前者が32日、後者が28日で、こちらも両者の間に統計的に有意な差は認められませんでした。【イギリス】
— 子犬のへや (@koinuno_heya) June 17, 2019
「106頭の犬と暮す女」というドキュメンタリーでフィーチャーされた自称サンクチュアリ運営の女性~アニマルホーダーの常として、自分の管理能力が追いついておらず犬たちの福祉を損なっていることには気づかず。#犬のネグレクト・怠慢飼育
【DailyMail】→https://t.co/epxVMDqkz6
一方、施設型の多頭飼育崩壊と一般家庭型の多頭飼育崩壊を比較したところ、ある特定の疾患に関し前者のリスクが大幅に高まる傾向が確認されたと言います。具体的には収容時の上部気道感染症が4.35倍、収容後も続く慢性的な上部気道感染症が23.7倍というものでした。 Medical conditions and outcomes in 371 hoarded cats from 14 sources: a retrospective study (2011-2014)
Linda S Jacobson, Jolene A Giacinti1,et al., Journal of Feline Medicine and Surgery, DOI: 10.1177/1098612X19854808
日本での施設型多頭飼育崩壊
搾取的ホーディング
これは「支援金詐欺」とか「ノーキル詐欺」と呼ばれるもので、「殺処分ゼロのために!」というもっともらしい看板を掲げて不特定多数の人たちから支援金をかき集めます。あるいは思わず目を背けたくなるようなひどい状態の犬や猫の画像をわざとさらし、見る人の憐憫を掻き立てている所もあります。
日本における実例としては広島県の某NPOが有名です。この団体は劣悪な環境下に犬たちを押し込み、過密ストレスに起因する殺傷事件が起こっているにも関わらず「殺処分ゼロ継続中」などと虚偽の報告をしてふるさと納税を集めています。
【広島県】
— 子犬のへや (@koinuno_heya) June 7, 2019
殺処分も殺傷もゼロではないですよ…。
裏事情を知らない人がふるさと納税→応援コメント→コメントを見た人がまともな団体だと錯覚→ふるさと納税…という循環でしょうか。一度膿を出しきらないと犬たちが可哀相?? #ノーキル詐欺
【ふるさとチョイス】→https://t.co/IMglB2r58O
病的ホーディング
近年行われた調査では、病的なアニマルホーディングを精神疾患の一種として組み込む必要があると指摘されています。その場合に必要となるのは、説得ではなく医療的なアプローチです。【東京都】
— 子猫のへや (@konekono_heya) 2018年6月8日
無届け運営、ペット禁止マンションの無断施設化、冷蔵庫に入れられた猫の死体~板橋区にある自称・保護猫シェルター????では、実際のところ何が起こっているのか?現場を経験したボランティアが涙の告発。#猫 #猫福祉
【弁護士ドットコム】→https://t.co/tCkm4hLyDF
動物保護団体の法的な位置づけ
第二種動物取扱業として登録された施設には、逸走の防止、清潔な飼養環境の確保、騒音等の防止等が義務付けられ、不適切とみなされた場合は都道府県知事等からの勧告・命令を受けることがあります。また無届出で第二種動物取扱業を行った場合は30万円以下の罰金などに処せられます(:第二種動物取扱業者の規則)。
第二種のホーディングを防げない動物愛護法
しかし環境省が公開している直近「平成29年度の報告書」では、第25条に関連した命令、勧告数は全国でゼロ件とされています。日本各地では保護団体や施設によるアニマルホーディングと思われるケースがちらほら見られますので、現時点における動物愛護法はいわゆる有形無実のザル法である感を否めません。
実際、東京都内にある某シェルターの劣悪環境を管轄の東京都動物愛護相談センターに報告したところ、「第二種動物取扱業に対しては実効的な指導・罰則は適用できない」という不可解な回答があったといいます。団体が第二種である限り、行政機関が立ち入り検査をして改善を促し、改善されない場合で30万以下の罰金刑になることほとんどで、それが払えてしまう場合は無罪放免になってしまうとのこと。「NPO法人東京キャットガーディアン」の現状に問題意識を持つ元スタッフ数名で告発サイトを立ち上げました。https://t.co/XsJG6HJSZO
— 東京キャットガーディアン告発アカウント (@gctneko) 2019年6月14日
虫の湧く不衛生な施設、死亡したらゴミに混ぜて捨てられる、一年以上もケージに入れっぱなしなど多くの問題があります #愛護団体 #保護施設 #愛護センター
ホーディングは消極的な動物虐待
日本の保護団体がホーディングを行っている場合、動物愛護法が定める「動物の所有者又は占有者は動物に起因する感染性の疾病について正しい知識を持ち、その予防のために必要な注意を払うように努めなければならない」という条項に違反していますし、第二種動物取扱業者が遵守すべき細目にある「飼養施設の構造及び規模が取り扱う動物の種類及び数にかんがみ著しく不適切なものでないこと」という規定にも違反しています。要するにホーディングは動物虐待と同じ意味であるということです。
第二種動物取扱として登録している団体が搾取的であれ病的であれ、ホーディングがネグレクトという消極的(=暴力を伴わない)な動物虐待であるという認識を持ち、行政が犯罪として取り締まってくれないと現状は改善しないでしょう。#猫の多頭飼育・ホーディング
— 子猫のへや (@konekono_heya) 2019年3月1日
数年前からシェルターに誰も近寄らせなくなっていたという個人保護活動家~猫たちが心配で半ば強引に訪問したところ、眼前に広がっていたのはまさしくホーディングシェルター。これじゃ悪徳繁殖屋や引取屋と同じだ…。
【心はいつも一緒】→https://t.co/rbzWbbgxri pic.twitter.com/zr9bN0MNPz
現状は内部関係者が名誉毀損で逆に訴えられるリスクを犯して団体を報告し、仮に報告が成功しても「罰金30万円」など再発抑止力のない生ぬるいペナルティしか課せられないというものです。また第三者機関が動物虐待として当該団体を告発し、刑事事件にまでもっていくというケースも少数ながらあります。しかし管轄の行政機関がしっかり対応しかしてくれないとか、裁判所で不起訴になるなど、理解に苦しむ顛末で終わってしまうこともしばしばです。
第二種動物取扱(保護施設)が起こす多頭飼育崩壊事件は、今後さらに発生件数が増え続ける新たな社会問題と言ってよいでしょう。
【茨城県】
— 子猫のへや (@konekono_heya) 2019年5月17日
動物虐待で刑事告発されたNPOの内部が公開される~狂犬病予防注射や不妊・去勢手術をしていない疑いも。県動物指導センター「不衛生だが、虐待とは考えていない」。ん??#猫動物虐待 #犬動物虐待
【朝日新聞】→https://t.co/bbm6qaYWCU pic.twitter.com/sU8EXPR1zD