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循環式の水飲み容器で猫の飲水量は増えるのか?

 猫の飲み水の量を増やすと銘打って市販されている循環式の水飲み容器。こうしたグッズには、本当に猫の飲水量を増やす効果があるのでしょうか?検証実験が行われました。

水飲み容器と猫の飲水量調査

 循環式の水飲み容器とは、電力によって水をぐるぐる回す仕組みを持った器のこと。市販されている商品の多くは、猫の飲水量が増えることを謳(うた)っています。しかし具体的なデータに乏しく、ラベルや効能書きが本当なのかどうかはよく分かっていません。
 今回の調査を行ったのはアメリカ・テネシー大学獣医科学部のチーム。臨床上健康な猫を対象とし、水飲みボウルの形状によって猫たちの飲み水の量が変化するかどうかを検証しました。用いられた容器は「ノーマル」「回遊式」「滝(噴水)式」の3種類です。 水を循環させることで猫たちの飲み水の量は増えるのだろうか?  調査に参加したのは16頭の猫たち(避妊メス7頭+去勢オス9頭 | 2~8歳)。餌の種類や生活環境を統一した上で3種類の水飲み容器を順繰りに使ってもらいました。一つの容器を使用する期間は2週間です。なお途中で2頭が脱落したため、最終的には14頭分のデータが検証に回されています。
 調査期間中、猫たちから尿を採取して尿量、尿比重(USG)、尿のモル浸透圧濃度(Uosmol)、シュウ酸カルシウムとストラバイト相対過飽和度(RSS)などを定期的にモニタリングしたところ、飲水量に関しては以下のような結果になったといいます。単位は体重1kg当たり1日の量(ml)です。 容器別に見た猫たちの飲水量比較一覧グラフ
  • ノーマル→27.5ml/kg/日
  • 回遊→26.3ml/kg/日
  • 滝(噴水)→26.1ml/kg/日
 猫の飲み水の量に関し、容器の種類によって統計的に有意な格差は認められませんでした。また尿の解析結果に関しても、容器による変動はほとんど見られませんでした。
 こうした結果から調査チームは、水飲み容器の種類を変えることによって猫たちの飲水量を変えることは難しいとの結論に至りました。ただし3頭に関しては特定の容器に対する明白な好みを示したため、色々な種類を試してみることは必ずしも無駄ではないとしています。
Quantified water intake in laboratory cats from still, free-falling and circulating water bowls, and its effects on selected urinary parameters.
Robbins, M. T., Cline, M. G., Bartges, J. W., Felty, E., Saker, K. E., Bastian, R., & Witzel, A. L. (2018). Journal of Feline Medicine and Surgery, doi.org/10.1177/1098612X18803753

循環式水飲み容器の種類

 循環式の水飲み容器は日本国内でも市販されています。非常にたくさんの種類が市販されていますが、形状に着目するとおおむね「噴水式」と「滝式」とに分かれます。上記調査で用いられた「回遊式」(渦潮のように水をぐるぐる回すタイプ)はないようです。
 飲み水の量を増やす効果は定かかではありませんが、あって損はないのでいくつかご紹介します。

噴水式の循環容器

 噴水式の循環容器とは下から上に向かって水が噴き上げるタイプの水飲みボウルのことです。「ファウンテン型」とも呼ばれます。

滝式の循環容器

 滝式の循環容器とは、いったん下から上に向かって吸い上げられた水がまるで滝のように流れ落ちるタイプの水飲みボウルのことです。「ウォーターフォール型」とも呼ばれます。
猫の飲水量に関しては鶏肉味をつけることで増える可能性があります。詳しくは「水を飲まない猫の飲水量を増やすコツは鶏肉フレーバー?」をご覧ください。