詳細
調査を行ったのは、オランダ・ヴァーヘニンゲン大学の動物栄養学チーム。代表的な5つの食物繊維がもつ発酵性を調べるため、10頭のメス猫(1頭だけ避妊手術済み | 3~5歳 | 平均3.3kg)から腸内細菌サンプルを採取し、ボトル内で猫の腸内を再現してみました。用いられた食物繊維は以下です。
Bosch G, Heesen L, de Melo Santos K, Cone JW, Pellikaan WF, Hendriks WH., Journal of Nutritional Science. A017;6:e24. doi:10.1017/jns.2017.21
代表的な食物繊維
- 柑橘ペクチン(可溶+発酵速い)
- フラクトオリゴ糖(可溶+発酵速い)
- グアガム(可溶+発酵速い)
- ビートパルプ(不溶+発酵中等)
- 小麦ふすま(不溶+発酵中等)
食物繊維と生成ガス
- 生成量柑橘ペクチン>フラクトオリゴ糖>グアガム>ビートパルプ>小麦ふすま
- 個体間変動係数ビートパルプ・小麦ふすま>柑橘ペクチン・フラクトオリゴ糖・グアガム
食物繊維と生成短鎖脂肪酸
- 生成量柑橘ペクチン・フラクトオリゴ糖・グアガム・ビートパルプ>小麦ふすま
- 組成酢酸エステルは柑橘ペクチンで最大/プロピオン酸塩はグアガムで最大
- 個体間変動係数ビートパルプ・小麦ふすま>柑橘ペクチン・フラクトオリゴ糖・グアガム
プロピオン酸塩や酪酸塩>酢酸エステル
Bosch G, Heesen L, de Melo Santos K, Cone JW, Pellikaan WF, Hendriks WH., Journal of Nutritional Science. A017;6:e24. doi:10.1017/jns.2017.21
解説
ガスの生成量に関し「柑橘ペクチン>フラクトオリゴ糖>グアガム>ビートパルプ>小麦ふすま」という関係性が見られました。ものすごく単純に表現すると「小麦ふすまよりも柑橘ペクチンの方がおならが出やすい」ということになります。
実はこのレポートには続きがあり、同時に公開されたこちらの調査では食物繊維が持つ発酵性の繰り返し性と再現性が検証されました。
その結果、再現性にしても繰り返し性にしても「柑橘ペクチン・フラクトオリゴ糖・グアガム>ビートパルプ・小麦ふすま」という関係性が見られたと言います。そしてこの関係性は短鎖脂肪酸でもガスの生成でも同じだったとも。つまり平たく言うと、構造が複雑なビートパルプや小麦ふすまよりも、構造が単純な柑橘ペクチン・フラクトオリゴ糖・グアガムの方がコンスタントに同じ結果を出しやすいということです。柑橘ペクチン・フラクトオリゴ糖がガスになりやすいのだとすると、「猫が食べた後、必ずおならが出る」といった感じになるでしょうか。 猫のおならは滅多に聞くことができませんが、もし頻繁にガスを放出しているようなら食事に含まれている食物繊維の種類を確かめた方がよいかもしれません。例えば柑橘ペクチンやフラクトオリゴ糖が使われている場合、猫が持っている腸内細菌によって分解され、過剰なガスが生成されている可能性があります。必ずしも体に悪いとは言い切れませんが、お腹がパンパンに張って猫が不快感を抱いているかもしれません。 Evaluation of an in vitro fibre fermentation method using feline faecal inocula: repeatability and reproducibility
Bosch G, Heesen L, de Melo Santos K, Pellikaan WF, Cone JW, Hendriks WH. Journal of Nutritional Science. A017;6:e25. doi:10.1017/jns.2017.22.
実はこのレポートには続きがあり、同時に公開されたこちらの調査では食物繊維が持つ発酵性の繰り返し性と再現性が検証されました。
- 繰り返し性と再現性
- 「繰り返し性」(repeatability)とは、測定する手順、測定者、使用システム、場所が同一という条件下で、時間を隔てずに繰り返しテストを行った時、どの程度結果にばらつきが見られるかを数値で示したもの。
「再現性」(reproducibility)とは、測定する手順、測定者、使用システム、場所が異なるという条件下で、時間を隔ててテストを行った時、どの程度結果にばらつきが見られるかを数値で示したもの。
その結果、再現性にしても繰り返し性にしても「柑橘ペクチン・フラクトオリゴ糖・グアガム>ビートパルプ・小麦ふすま」という関係性が見られたと言います。そしてこの関係性は短鎖脂肪酸でもガスの生成でも同じだったとも。つまり平たく言うと、構造が複雑なビートパルプや小麦ふすまよりも、構造が単純な柑橘ペクチン・フラクトオリゴ糖・グアガムの方がコンスタントに同じ結果を出しやすいということです。柑橘ペクチン・フラクトオリゴ糖がガスになりやすいのだとすると、「猫が食べた後、必ずおならが出る」といった感じになるでしょうか。 猫のおならは滅多に聞くことができませんが、もし頻繁にガスを放出しているようなら食事に含まれている食物繊維の種類を確かめた方がよいかもしれません。例えば柑橘ペクチンやフラクトオリゴ糖が使われている場合、猫が持っている腸内細菌によって分解され、過剰なガスが生成されている可能性があります。必ずしも体に悪いとは言い切れませんが、お腹がパンパンに張って猫が不快感を抱いているかもしれません。 Evaluation of an in vitro fibre fermentation method using feline faecal inocula: repeatability and reproducibility
Bosch G, Heesen L, de Melo Santos K, Pellikaan WF, Cone JW, Hendriks WH. Journal of Nutritional Science. A017;6:e25. doi:10.1017/jns.2017.22.