詳細
猫の祖先であるリビアヤマネコの被毛はすべて黒っぽい縞模様ですが、人間による猫の家畜化が進むにつれ、黄色っぽいフェオメラニン色素を多く含んだ猫が見られるようになってきました。その一例が、茶トラ猫に代表される「オレンジ」と、ノルウェージャンフォレストキャットの一部のラインで見られる「アンバー」という毛色です。前者に関わっているのは、X染色体上にある「O」という遺伝子で、後者に関わっているのは「メラノコルチン1受容体遺伝子」(MC1R)に含まれる「E」と呼ばれる遺伝子座の変異(c.250G>A; p.Asp84Asn)であることが分かっています。
近年行われた調査により、既に知られている変色遺伝子とは違う遺伝子が、猫の毛色を黄色っぽく変えている可能性が浮上してきました。きっかけとなったのは、2007年にニュージーランドで生まれた「Molly Too」という名のバーミーズです。バーミーズには珍しく黄色っぽい被毛をもって生まれたこの猫は、その後交配を重ねて「ラセット」(russet)という新しい被毛パターンの基礎を作りました。基本的な特徴は以下です。
こうした結果から調査チームは、バーミーズのラセットラインで発見された遺伝子の欠失変異は、猫の被毛を赤茶色に変える新しい遺伝子パターンであるとの結論に至りました。 Not another type of potato: MC1R and the russet coloration of Burmese cats
ラセットの特徴
- しっぽの先、股間、肉球周辺の体毛色が薄い
- 鼻の色は完全にピンク
- 肉球は成長に伴いピンクになる
- 成長に伴い、ユーメラニンを含んでいた濃い部分が頭から徐々に明るい色にかわり最終的には完全な赤色になる
こうした結果から調査チームは、バーミーズのラセットラインで発見された遺伝子の欠失変異は、猫の被毛を赤茶色に変える新しい遺伝子パターンであるとの結論に至りました。 Not another type of potato: MC1R and the russet coloration of Burmese cats