詳細
調査を行ったのは、ニュージーランドの「Companion Animal Council」を中心としたチーム。オーストラリアとニュージーランドに暮らすペットの飼い主に対し、「ペットのペットロス」に関する調査票を広く配布し、最終的に279人(うち女性254人)から回答を得ました。調査票の具体的な内容は、複数のペットを飼っている家庭において1頭が死んだ時、残されたペット動物の行動にどのような変化が生じたかというもので、行動カテゴリは食事、睡眠、鳴き声、排泄、攻撃性、愛情、縄張りという7つに分類されました。
その結果、仲間の死を経験した猫196頭のうち、77.5%に相当する152頭が最低1つの変化を見せたと言います。また変化が見られた項目の平均数は「4.5 ± 0.2」で、行動の変化が観察された期間は平均して6ヶ月未満だったとも。具体的には以下のような行動の変化が見られたそうです。(※詳細は猫の分離不安というページで解説)
Jessica K. Walker, Natalie K. Waran, et al. Animals 2016, 6(11), 68; doi:10.3390/ani6110068
その結果、仲間の死を経験した猫196頭のうち、77.5%に相当する152頭が最低1つの変化を見せたと言います。また変化が見られた項目の平均数は「4.5 ± 0.2」で、行動の変化が観察された期間は平均して6ヶ月未満だったとも。具体的には以下のような行動の変化が見られたそうです。(※詳細は猫の分離不安というページで解説)
死別後の猫の変化
- 飼い主の愛情を求める行動が増える
- 飼い主に対してしつこく愛情を示す
- 同居動物への攻撃性が増す
- 食べる量が減る
- 食べるスピードが遅くなる
- 不適切な排泄(トイレの失敗)が増える
- 睡眠時間が増える
- 死んだ仲間がよくいた場所を調べる
- 鳴いている時間が増える
- 鳴き声のボリュームが増す
Jessica K. Walker, Natalie K. Waran, et al. Animals 2016, 6(11), 68; doi:10.3390/ani6110068
解説
過去に行われた多くの調査では、仲間を失った動物は人間の「寂しさ」に似た感情を経験しているかもしれないことが示されています。例えば、母親から引き離された離乳前の家畜動物では鳴き声が増えて免疫力が低下するとか、モルモットの親子が離れ離れになったときに活性化する脳の部位と、人間が「寂しい」と感じているときに活性化する脳の部位が同じなどです。調査チームは、別離を経験した動物が経験する「別れの二相性モデル」を引き合いに出し、猫で見られた変化もこれに当てはまるのではないかと推論しています。
別れの二相性モデル
- 第一の相(パニック)探索行動や鳴き声を増やすことで離れ離れになった仲間と再会する機会を高める。
●鳴いている時間の増加(43%)
●鳴き声のボリュームの増加(32%)
●愛着行動の増加(40%) - 第二の相(意気消沈)エネルギーを温存するため活動性を低下させて環境から引きこもる。
●食べるスピードが遅くなった(12%)
●食べる量が減った(21%)