詳細
調査を行ったのは、イギリス・コーンウォール大学の応用動物学チーム。動物の持つ癒しの効果に関しては、これまで数多くの研究がなされてきましたが、そのほとんどは犬を対象としたもので、猫を対象としたものは数えるほどしかありませんでした。そこで調査チームは、猫の飼い主20人(平均34.6歳)と保護施設でボランティアとして働く20人(平均41.9歳)を対象とし、猫との交流によって生理学的にどのような変化が現れるかを検証するという計画を立てました。当計画の特徴は、人間が猫に対して抱いている愛着の度合いを変数に組み入れたという点です。生理学的な変化としては「収縮期血圧」、「拡張期血圧」、「心拍数」の3項目が選ばれ、愛着の度合いを調べるためテストとしては「LAPS」(Lexington Attachment to Pets Scale)が採用されました。
猫の飼い主の実験場所は「自宅」、ボランティアの実験場所は「保護施設内のなじみの部屋」とされ、「猫がいない」→「猫と交流する」→「猫がいない」という3つの状況を各10分ずつ設け、10分終了時点における生理学的な指標が計測されました。主な結果は以下です。
猫の持つ癒やし効果
- 飼い主もボランティアも愛着の度合いに関しては同レベルだった
- 飼い主もボランティアも猫との交流によって生理学的な変化が起こった
- 飼い主においては愛着の度合いが大きいほど生理学的変化も大きかった
- 飼育している期間が長いほど猫への愛着が高まった
- 猫に対する愛着は2年を超えた頃から急激に高まった
解説
猫飼い始めて2年を過ぎた頃から急激に愛着が増すという現象の背景には、「やんちゃざかりを過ぎていたずらが減る」とか「気心が知れて積極的に甘えてくるようになる」といった猫の側の変化が関係しているのかもしれません。一方人間の場合、一緒に暮らしている時間が長くなると、相手に対する緊張感、敬意、恋愛感情などがおしなべて低下し、時としてカチンと来るようなことを言ったりやったりします。その結果が「共同生活の最初の4年間で満足度が徐々に低下する」という現象なのでしょう。
猫の飼い主においては、愛着の度合いが大きければ大きいほど生理学的な変化も大きかったといいますので、日頃から「HAB」(Human Animal Bond=人と動物の絆)の強化に努め、猫の手を借りつつ最大限のリラックス効果を享受したいものです。
猫の飼い主においては、愛着の度合いが大きければ大きいほど生理学的な変化も大きかったといいますので、日頃から「HAB」(Human Animal Bond=人と動物の絆)の強化に努め、猫の手を借りつつ最大限のリラックス効果を享受したいものです。