詳細
「エンセファリトゾーン」(Encephalitozoon cuniculi)とは、小さな昆虫から大きな哺乳類までありとあらゆる動物に感染する単細胞生物「微胞子虫」の一種。免疫力が低下した時にだけ発症する日和見感染症の原因生物として知られています。一般的にはウサギ、げっ歯類、犬、人間に感染しますが、北里大学獣医学部が行った調査により、外に出る機会がある猫では高確率で感染歴があるという事実が判明しました。
調査チームは2011年9月から2012年9月までの1年間、不妊手術のため長野県内にある動物病院に連れてこられた猫合計295頭を対象に血液検査行い、一体どの程度の割合でエンセファリトゾーンに対する抗体を保有しているかを調べました。その結果、以下のような結果になったといいます。なお「野良猫」とは飼い主がおらず屋外で生活している猫、「飼い猫」とは室内と屋外を行き来できるペット猫のことです。
こうしたデータから調査チームは、外に出る機会がある猫においてはエンセファリトゾーンの感染率が高く、原虫のキャリアになっている可能性があるという事実を突き止めました。今後は完全室内飼いの猫を調査対象に含め、不明なところが多い原虫の感染経路を明らかにしていきたいとしています。 Serological survey of Encephalitozoon cuniculi infection in cats in Japan
猫のエンセファリトゾーン陽性率
- 全体=6.1%(18/295)
- オス猫=6.3%(6/96)
- メス猫=6.0%(12/199)
- 野良猫=8.3%(11/132)
- 飼い猫=4.3%(7/163)
こうしたデータから調査チームは、外に出る機会がある猫においてはエンセファリトゾーンの感染率が高く、原虫のキャリアになっている可能性があるという事実を突き止めました。今後は完全室内飼いの猫を調査対象に含め、不明なところが多い原虫の感染経路を明らかにしていきたいとしています。 Serological survey of Encephalitozoon cuniculi infection in cats in Japan
解説
「エンセファリトゾーン」とは実に聞き慣れない名前ですが、ウサギを飼っている人の間では結構有名なようです。2006年から2007年にかけ、日本国内20の都道府県から集められた合計337羽のウサギを対象に血清IgG陽性率を調べたところ、以下のような結果になったといいます(→出典)。
ウサギのエンセファリトゾーン感染率(IgG抗体ベース)
- 単独飼い=29.7%
- 複数飼い=75.2%
- 神経疾患あり=81.0%
- その他の疾患あり=43.2%