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猫の慢性腎臓病の危険因子がとうとう判明?

 慢性腎臓病を抱えた猫の飼い主に対する聞き取り調査により、発症の危険因子と思われるいくつかの項目が明らかになりました(2016.1.25/タイ)。

詳細

 調査を行ったのは、タイ・バンコクにあるチュラーロンコーン大学の獣医学チーム。2004年6月から2014年11月の期間中、健康な猫29頭(5歳以上)の飼い主と、慢性腎臓病を自然発症した猫101頭の飼い主に対して聞き取りを行い、疾病を発症する危険因子を調査しました。その結果、以下のようなデータが得られたといいます。数字は「オッズ比」(OR)で、「特定の条件Aがない」場合における病気へのかかりやすさを「1」としたときの、「特定の条件Aがある」場合のかかりやすさを示しています。すなわち1よりも大きければそれだけ危険だということです。
危険因子(?)
  • オス猫→2.80
  • 水道水→3.43
  • 屋外飼育→3.77
危険回避因子(?)
  • 市販のドライフード→0.06
  • 濾過水→0.13
  • 屋内飼育→0.28
 「0.06」という低い数値に着目した調査チームは、「慢性腎臓病の予防には、市販のドライフードがいいようだ」との結論に至っています。 猫の慢性腎臓病を予防するのに、ドライフードが有効かどうかは今後さらなる調査が必要 Risk and protective factors for cats with naturally occurring chronic kidney disease

解説

 このデータは101頭と言う非常に少ないサンプル数を元にして得られた数値であるため、それほど信頼できるとは言えません。また、国が違えば水道水の質や屋外における生活環境、ドライフードの質も変わってくるでしょうから、そっくりそのまま鵜呑みにしてしまうのは危険だと思われます。
 猫の慢性腎臓病は非常に発症頻度が高いにもかかわらず、ほとんどのケースでは「特発性」(とくはつせい)、すなわち「原因がよくわからない」ものとして扱われます。今回指摘された「ドライフード」が、慢性腎臓病と因果関係にあるのか、それとも単なる見かけ上の関係性しかないのかに関しては、今後更なる調査が必要となるでしょう。
 国境を超えて確実に言えることは、「加齢に伴って発症率が高まる」という傾向です。6歳を超えた猫は、半年に1回程度のペースで尿検査をしておくと、いち早く腎臓病の徴候に気づくことができます。また2015年からは外注で「SDMA™」という腎不全早期発見のための新しい血液検査もできるようになりましたので、通っている病院に一度お問い合わせください。 猫の慢性腎不全 IDEXX SDMA™