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「トキソプラズマ感染症」は、あらゆる脊椎動物の体内に潜伏し、ネコ科動物を終宿主とする寄生虫の一種「トキソプラズマ」が体内に入ることによって発症する原虫感染症。免疫力が正常であればほとんど身体症状を示しませんが、 かねてからうつ病の発症と関連があるのではないかと指摘されていました。例えば、2013年、ミシガン大学の医療機関を受診した130万人を対象として行われた統計調査では、犬や猫に噛まれたことがある人のうつ病率が高く、この傾向は犬よりも猫、男性よりも女性で顕著であるとの結果が報告されています。これらの原因として研究者たちが提唱している仮説が、「犬や猫の咬み傷からトキソプラズマが侵入した」というものです。しかしこの調査では、うつ病と診断された人が実際にトキソプラズマに感染していたかどうかまでは調べられませんでした。
今回、チェコのプラハ大学が新たに行った調査の目的は、「うつ病傾向」と、「犬や猫に噛まれた経験」、「猫に引っかかれた経験」、および「トキソプラズマ感染の有無」が、本当に関連し合ってるのかどうかを確かめることです。調査チームは、Facebookを通じてランダムで選んだ男性2,064名と女性3,471名を対象とし、うつの度合い、過去2年間におけるメンタル面の問題、抗うつ薬の服用、既往歴などに関するアンケート調査を行いました。その結果、全体の19%にあたる1,042名でトキソプラズマ感染の有無が判明し、以下のような事実が分かったと言います。
犬猫とうつ病との関係
- 犬や猫に噛まれたり引っかかれたりしたことがある人でうつ病スコアが高かった
- 犬や猫に噛まれたことがある人でトキソプラズマ感染率が高かった
- 猫の引っ掻きとトキソプラズマ感染率には関連性がなかった
- 特に、猫に噛まれたりひっかかれたりしたことがある女性では、うつ病やメンタル面での問題に関するスコアが高かった
- トキソプラズマ感染症とうつ病との間に強い相関関係が見られた
- 猫を飼っている頭数が多ければ多いほどうつ病スコアは下がった