詳細
2014年、スペインのアレルギー専門誌「Allergologia et Immunopathologia」内で、サーカスを見ている最中に突然アレルギー症状が現れた8歳の少年の症例が紹介されました。彼はショーが始まる前までは元気だったにもかかわらず、舞台にライオンが登場してから数分後、突如として皮膚のかゆみを訴え始め、目の痛みや鼻水といった症状がそれに引き続いたと言います。病院に到着した頃には、蕁麻疹、結膜炎、鼻水といった症状に発展しており、抗ヒスタミン薬の投与によって20分後にようやく回復しました。数週間後、改めて少年のアレルギーテストを行ったところ、猫のフケ以外には反応を示さなかったそうです。
こうした事実から担当した医師は、猫アレルギーの発症を予防するためには、家の中からアレルゲンとなる猫のフケを可能な限り除去すると同時に、動物園やサーカスといった大型ネコ科動物がいる場所に近づかないようにすることも重要であるとしています。 Unexpected cross-reactivity in a cat-allergy patient. An allergic reaction at the circus
こうした事実から担当した医師は、猫アレルギーの発症を予防するためには、家の中からアレルゲンとなる猫のフケを可能な限り除去すると同時に、動物園やサーカスといった大型ネコ科動物がいる場所に近づかないようにすることも重要であるとしています。 Unexpected cross-reactivity in a cat-allergy patient. An allergic reaction at the circus
解説
1990年に行われた調査では、「ライオンアレルギー」や「トラアレルギー」といった風変わりなアレルギーが起こり得ることが示されています。この調査では、ネコ科に属する「オセロット」、「ピューマ」、「サーバル」、「シベリアタイガー」、「ライオン」、「ジャガー」、「ユキヒョウ」、「カラカル」の体毛を採取し、猫アレルギーを持った11人に接触させて、アレルギー反応が現れるかどうかを観察しました。その結果、本来ならば猫が発散したアレルゲンにだけ反応するはずの「IgE抗体」が、カラカルを除く7種類の動物の体毛と反応したといいます。また同様に、「IgG4抗体」は4種類の動物と反応したとも。こうしたデータから研究チームは、猫の主要アレルゲンである「Fel d 1」とは完全に一致しないものの、大型ネコ科動物からは「Fel d 1」に似た何らかの物質が放出されているとの結論に至りました。
こうした調査結果から考えると、猫アレルギーを持っている人がトラやライオンなどのネコ科動物に対しても交差反応を示し、くしゃみや目のかゆみといったアレルギー症状に悩まされるという事は、十分起こり得ることのように思われます。 Evidence for a Fel d I-like molecule in the “big cats” (Felidae species)
こうした調査結果から考えると、猫アレルギーを持っている人がトラやライオンなどのネコ科動物に対しても交差反応を示し、くしゃみや目のかゆみといったアレルギー症状に悩まされるという事は、十分起こり得ることのように思われます。 Evidence for a Fel d I-like molecule in the “big cats” (Felidae species)