詳細
調査を行ったのは、タイ・マヒドン大学の研究チーム。猫の毛の成分に対してアレルギー症状を示すようになったマウスに対し、猫の主要アレルゲンの1つ「Fel d 1」に特化して生成した経鼻ワクチン(L-nFD1)、猫の毛から生成した経鼻ワクチン(L-cCE)、そして偽薬という3種類を、2日に1度、合計8回投与してその効果を比較しました。その結果、偽薬群に比べてワクチン群では、鼻腔粘液の産生量と血清IgE抗体値が著明に減少し、Th2細胞のサイトカイン遺伝子発現が抑制されたといいます。
こうした結果から研究チームは、猫アレルギー用に生成したワクチンには効果があり、特に「Fel d 1」に特化したものでは効果が高いとの結論に至りました。 Mouse Model of Cat Allergic Rhinitis and Intranasal Liposome-Adjuvanted Refined Fel d 1 Vaccine
こうした結果から研究チームは、猫アレルギー用に生成したワクチンには効果があり、特に「Fel d 1」に特化したものでは効果が高いとの結論に至りました。 Mouse Model of Cat Allergic Rhinitis and Intranasal Liposome-Adjuvanted Refined Fel d 1 Vaccine
解説
マヒドン大学の研究チームは今年、「Fel d 1」のうち「IgE抗体」と結合してアレルギー反応を引き起こす部位を特定したことで知られています。抗原部位の一部が特定されたことにより、これまで「猫の皮膚から抽出したエキス」や「猫の毛から抽出したエキス」という漠然とした形でしか用いることができなかった猫アレルギーワクチンが、「Fel d 1の抗原部位を再現したワクチン」という限局度の高い形で用いることができるようになりました。将来的には、スギ花粉症に対する舌下免疫療法のように、認可を受けた病院で猫アレルギー用ワクチンが処方されるという日が来るかもしれません。
2019年には人間ではなく猫にワクチンを接種することでアレルゲンの量自体を減らすという治療法が登場しています。詳しくは「ワクチン接種でアレルギーを引き起こしにくい猫を作り出せるかも」をご覧ください。