詳細
「潰瘍性口内炎」は、口の中の組織が広範囲にわたって炎症を起こし、猫の生活の質を著しく低下させる難治性の疾患。原因はいまだによくわかっておらず、細菌、ウイルス、栄養、環境因子などが複雑に絡みあって発症するものと推測されています。
今回の報告を行ったブラジルの研究チームは、潰瘍性口内炎を患った26頭を対象とし、猫でよく見られる感染症との因果関係を調査しました。主な臨床所見は以下です。
こうした事実から研究チームは、潰瘍性口内炎の発症とFCVとは無関係だが、FeLVが上皮内に侵入し、抗体が病巣に見られる場合は、おそらく発症因子になっているのではないかとの見方を強めています。 Clinical, pathological, immunohistochemical and molecular characterization of feline chronic gingivostomatitis
潰瘍性口内炎の主症状
- 嚥下障害=88.2%
- 口臭=76.5%
- 流涎=47.1%
- 体重減少=41.2%
- 強い口内不快感=35.3%
- 口内出血=17.6%
- 艶のない粗雑な被毛=11.8%
こうした事実から研究チームは、潰瘍性口内炎の発症とFCVとは無関係だが、FeLVが上皮内に侵入し、抗体が病巣に見られる場合は、おそらく発症因子になっているのではないかとの見方を強めています。 Clinical, pathological, immunohistochemical and molecular characterization of feline chronic gingivostomatitis
解説
「潰瘍性口内炎」はその発症メカニズムと同様、呼称に関してもかなり混乱の様相を呈しています。様々な文献内で以下に述べるような表現がされていますが、これらはほぼ同じ病態を指しています。
潰瘍性口内炎に対する治療としては、これまで以下のようなものが行われてきましたが、治療効果に関してはまちまちです。なお最後に挙げた「シクロスポリン」は現在犬にしか承認されていません。しかし、アレルギー性皮膚炎を抱えた猫に対し、7.0mg/kg程度であれば重大な副作用を引き起こすことなく症状を改善できるとの報告もあるため(→出典)、将来的には猫用の製剤が開発される可能性もあります。
潰瘍性口内炎の同義表現
- 歯肉口内炎
- 再発性口腔潰瘍
- リンパ球性形質細胞性口内炎
- リンパ球性形質細胞性歯肉口内炎
- 形質細胞性口内炎
- 形質細胞性歯肉炎口内炎咽頭炎
- 慢性潰瘍性口内炎
- 慢性潰瘍性歯周口内炎
- 壊死性口内炎
- 猫慢性歯肉口内炎
潰瘍性口内炎に対する治療としては、これまで以下のようなものが行われてきましたが、治療効果に関してはまちまちです。なお最後に挙げた「シクロスポリン」は現在犬にしか承認されていません。しかし、アレルギー性皮膚炎を抱えた猫に対し、7.0mg/kg程度であれば重大な副作用を引き起こすことなく症状を改善できるとの報告もあるため(→出典)、将来的には猫用の製剤が開発される可能性もあります。
潰瘍性口内炎の治療法
- 歯周病巣清掃
- 抜歯
- 扁桃腺摘出
- レーザー切除
- 抗菌剤の投与
- 抗炎症薬の投与
- シクロスポリン投与(犬)