トップ2015年・猫ニュース一覧7月の猫ニュース

7月の猫ニュース

 2015年7月の猫に関するニュースをまとめました。一番上が最新で、下にスクロールするほど記事が古くなります。記事内にリンクが貼られていることもありますが、古い記事の場合はリンク切れの時がありますのでご了承下さい。

7月31日

 短いしっぽで知られるマンクスとジャパニーズボブテイルのDNAを解析したところ、両者の短尾を生み出しているのは全く別の遺伝子であることが明らかになりました。
 調査を行ったのはカリフォルニア大学デーヴィス校を中心としたチーム。短尾で知られるジャパニーズボブテイルのDNAを解析したところ、同じく短尾で知られるマンクスの変異遺伝子「T-Box」は見つからなかったと言います。わかった事実は、短尾を生み出している遺伝子が常染色体優性であることと高い頻度で胸椎(1つ)の欠落を伴うこと、そして低い頻度で肋骨や頸椎の奇形を伴うことなどです。また通常の猫が20~24個の尾椎を有しているのに対し、ジャパニーズボブテイルは平均15.8個しか有しておらず、「半椎骨」と呼ばれる楔型の骨がカギしっぽを作り出しているとも。ちなみにマンクスとは違い、短尾を作り出している遺伝子は、個体の健康や致死率に影響を与えることはないそうです。 猫のしっぽ Japanese Bobtail
短尾が特徴のジャパニーズボブテイルとマンクス

7月31日

 食欲増進を目的としてまれに猫に処方される抗うつ薬の一種「ミルタザピン」(レメロン/リフレックス)を服用したとき、一体どのような副作用が現れるのかに関する統計調査が行われました。
 調査を行ったのはコロラド州立大学とアメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)の共同チーム。2006~2011年の間、「動物中毒統制センター」に寄せられた84件のミルタザピン中毒事例を精査し、猫が服用したときに最も現れやすい症状を明らかにしました。トップ10は以下で、カッコ内は体重1kg当たりの平均服用量を示しています。
猫のミルタザピン中毒
  • やかましく鳴く=56.0%(2.56mg)
  • 活動性が増す=31.0%(2.57mg)
  • 嘔吐=26.2%(2.92mg)
  • 歩行異常=16.7%(2.87mg)
  • そわそわする=14.3%(3.55mg)
  • 震える=14.3%(2.43mg)
  • 流涎=13.0%(2.89mg)
  • 呼吸が速くなる=11.9%(3.28mg)
  • 脈が速くなる=10.7%(3.04mg)
  • 元気がなくなる=10.7%(2.69mg)
 84件の中毒うち70.2%は偶発的な誤飲、残りの29.8%は主として食欲増進剤として処方されたものだったといいます。また症状が出るまでには15分~3時間かかり、症状の持続時間は12~48時間だったとも。
 現在の獣医療においては、猫の体重1kg当たり1.88mgか3.75mgのどちらかで処方するのが通例です。しかし今回の調査により、3.75mgで処方した方が中毒にかかりやすいという傾向が明らかになったため、研究チームは「処方する場合は1.88mgからスタートする方が望ましい」と結論付けています。またミルタザピンは、人間用の抗うつ薬として「レメロン®」や「リフレックス®」などが流通していることから、猫が間違って15mgの錠剤を丸ごと誤飲しないよう注意を呼び掛けています。 Mirtazapine toxicity in cats 猫の食欲不振と増進

7月29日

 慢性腎不全の猫に対して制吐剤の一種である「マロピタント」を投与したところ、吐き戻す回数が大幅に減少するという効果が確認されました。
 「マロピタント」(maropitant)は、脳内の嘔吐中枢や化学受容器引金帯(CTZ)に働きかけて吐き気を抑制する制吐剤の一種。コロラド州立大学の獣医学チームは、慢性腎不全を抱え、嘔吐と食欲不振を主訴とする猫33頭を対象とし、21頭には真薬、12頭には偽薬を投与する比較実験を行いました。その結果、1日1回4mgのマロピタントを経口投与された真薬グループにおいては、2週間の実験期間後、嘔吐の回数に関して顕著な減少が見られたといいます。また偽薬グループにおいては嘔吐回数の改善が見られず、真薬グループの食欲、活動性、体重、血清クレアチニンに変化はなかったとも。
 こうしたデータから研究チームは、慢性腎不全を抱えた猫に対するマロピタント投与は、嘔吐の回数を抑制することで間接的に食事量を増やすことができるとの結論にいたりました。現在日本国内では、主に犬用の制吐剤として用いられていますが(セレニア®など)、今後は猫に対しても処方される機会が増えるかもしれません。 猫の慢性腎不全 Journal of Feline Medicine and Surgery

7月28日

 猫の繁殖施設「キャッテリ」において、病原性単細胞生物である原虫の感染率を調べたところ、 1歳未満の子猫の感染率が特に高いという事実が明らかになりました。
 当調査を行ったのは、北里大学や地方の動物病院から成る共同研究チーム。長野、埼玉、愛知、岐阜、宮城にある7つのキャッテリから合計342件(1ヶ月~12歳)の糞便サンプルを採取して検査したところ、「ジアルジア」と「シストイソスポーラ」の2種が確認されたと言います。内訳は以下。
キャッテリにおける原虫感染
  • ジアルジア=6施設で確認/全体の18.7%
  • シストイソスポーラ=4施設で確認/全体の5.0%
  • 複合感染=2施設で確認/全体の2.9%
  • 全体の原虫感染率=20.8%
 各施設における感染状況にはばらつきがあるものの、全体的に見ると1歳未満の猫における感染率が特に高かったといいます。また研究チームは、感染を助長する要因として「飼育環境の汚染」を第一に挙げています。 猫の寄生虫症 Prevalence of intestinal parasites in breeding cattery cats in Japan

7月28日

【イギリス】トリミングをするはずのお店が、「毛玉を取り除く」と称して飼い主に無許可で被毛を丸刈りにし、なおかつ追加料金を請求するという出来事がありました。
 丸刈りの被害に遭ったのはナタリー・トンプソンさん(25)の飼い猫「オリー」(4)。19日(日)、彼女の母親であるアイリーンさん(55)は、被毛をカットしてもらうため「Pets at Home」のゲイツヘッド支店にオリーを預け、50ポンドのグルーミングコースを依頼しました。その場を離れて1時間半ほどした頃、お店の方から「毛玉の処理をしますので追加で15ポンドかかります」という確認の電話があったと言います。アイリーンさんはこれを了承しました。ところが、引き取りのためにお店を再訪した彼女はオリーの姿を見て仰天。何とこの店は、飼い主に明確な説明をしないまま、オリーを丸刈りにしていたのです。
 この対応に飼い主は激怒。「Pets at Home」側からは弁償金としての65ポンドのほか100ポンド相当の商品券の申し出がありましたがこれを蹴り、事実の公表に踏み切りました。アイリーンさんとトンプソンさんは、「Pets at Home」がずうずうしく追加料金を請求したことや、「上着を買ってあげればよいのでは?」という開き直った発言をしたことを取り上げ、「よくそんなこと言えたものだ」と憤りをあらわにしています。なお実際の被害者であるオリーの方は、すっかり元気をなくし、部屋の隅っこに引きこもりがちだとか。 Source---DailyMailOnline
飼い主に無許可で丸刈り状態にされたオリー

7月27日

 体に接触せずに体温を測る「赤外線測定法」が、従来の「直腸測定法」の代わりになりうるかどうかという実験が行われました。
 実験を行ったのは、アメリカのフロリダ大学や獣医内科大学からなる共同チーム。動物病院、シェルター、家庭など様々な室内環境において、合計188頭に及ぶ猫の体温測定を行った結果、体にタッチしない「赤外線測定法」では、直腸をダイレクトで計測した体温よりも0.7~1.3℃低くなる傾向が見られたと言います。また低体温気味の猫では直腸温よりも高い値となり、逆に平熱~高体温の猫では直腸温よりも低い値になる傾向があったとも。
 こうした結果から研究チームは、赤外線を用いた遠隔測定では、正確な体温を計測できないとの結論に至りました。猫の正確な体温を知りたいときは、ややストレスがかかるものの、今まで通り直腸に体温計を入れるという方法に頼るしかないようです。 A comparison of non-contact infrared thermometry and rectal thermometry in cats

7月8日

 生まれてから猫のおしっこの匂いを嗅いで育ったネズミは、その後、猫を見ても逃げないようになるという現象が確認されました。
 この実験を行ったのは、ロシアの生物学研究チーム。生まれたばかりの子ネズミを2週間、猫のおしっことその中に含まれる「L-フェリニン」という匂いに晒しながら哺乳したところ、通常のネズミとは違い、猫の姿を見ても逃げないネズミに成長したといいます。ここで特筆すべきは、猫の匂いを嗅いだ際、通常のネズミと同様、体内ではストレスホルモン「コルチコステロイド」が分泌されるという点です。
 「猫の匂いを感知したら逃げる」という先天的な本能と、「猫の匂いがすると美味しいミルクがもらえる」という 後天的な学習が拮抗した結果、「ストレスは感じているけど逃げない」という、通常のネズミではまず見られない奇妙な現象となって現れたものと推測されています。 ScienceDaily

7月6日

 アメリカの製薬会社「Aratana Therapeutics Inc」は、犬や猫の食欲不振をターゲットとした薬「AT-002」(仮名)を開発中です。
 「AT-002」は、胃から産生されるペプチドホルモン「グレリン」 (ghrelin) に似た「カプロモレリン」(Capromorelin)という物質を主成分とした薬。「グレリン」は、脳内の視床下部に作用して食欲を増進させる働きを持つホルモンの一種であることから、「カプロモレリン」も同様の効果を発揮すると期待されています。
 現在、食欲不振を示す犬と健康な犬合計200頭以上を対象とした臨床テストが進行中で、「カプロモレリン」(3 mg/kg)と偽薬とを被験動物にランダムに振り分けた場合、一体どのような変化が犬の食欲に生じるかがモニタリングされています。集計された結果がFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を受ければ、2016年内に販売される可能性もあるとのこと。 Veterinary Practice News
 現在、猫の食欲不振に対する投薬治療では、主に以下のような薬剤が使用されます。いずれも大なり小なり副作用を誘発するため、「他の食欲増進法が効かなかったら行う」というのがセオリーです。上の記事で紹介した「AT-002」の副作用が十分に小さいと判断されれば、以下に述べるような薬に取って代わることも期待されます。
猫の食欲増進薬
  • ジアゼパム主な作用は鎮静効果であるが短時間の食欲増進効果もある。
    0.1mg/kg(静脈注射) or 1mg(経口/1日1回)
  • オキサゼパム主な作用は鎮静効果であるが短時間の食欲増進効果もある。
    2mg(経口/12時間ごと)
  • シプロヘプタジン抗ヒスタミン剤であると同時に食欲増進効果を示す。
    0.2~0.4mg/kg(経口/食事の10~20分前)
  • メトクロプラミド吐き気や悪心を抑えることで食欲増進につながる可能性がある。
    0.1~0.5mg/kg(経口)
  • ペリアクチン人間用の抗アレルギー剤であるが、慣習的に食欲増進剤としても用いられる。動物への投与は担当医師の判断による。小動物臨床のための5分間コンサルト(Interzoo)

7月2日

 群馬県町樋越で1日、これまで殺処分中心だった県動物管理センターに代わり、譲渡に力点を置いた「群馬県動物愛護センター」がオープンしました。
 センターは鉄筋コンクリート造り平屋建てで面積は約380平方メートル。エアコンを完備しており、負傷した動物の治療室や譲渡用の犬室、猫専用の飼育室などが独立して設置されています。オープン時点での人員は、職員11人とボランティア36人を合わせた47人。今後、収容数や譲渡数のバランスを見ながら人数を調整していくとのことです。 猫・子猫の里親募集 Source---毎日新聞

7月1日

 大阪府警東淀川署は6月30日、野良猫への餌やりをめぐる口論の末、カッターナイフで相手を切り付けたとして、大阪市東淀川区の男性を殺人未遂容疑で現行犯逮捕しました。
 逮捕されたのは大阪市東淀川区小松に暮らす無職の男性(81)。同容疑者は30日午前9時ごろ、駐輪場で野良猫にキャットフードを与えていたところを、同じマンションに住む男性(65)に咎められたことから激高。その後、わざわざ自宅に戻ってカッターナイフを持参し、相手の男性を切り付けた疑いがもたれています。警察によると容疑者は、「切りつけたのは間違いない」と供述しているものの、殺意は否認しているとのこと。 Source---産経新聞