アコースティックキティ

　アコースティック・キティは、1960年代に実在した、猫をスパイ活動に利用しようとしたCIA主導の計画のこと。
　この計画は、2001年9月、アメリカにおいて制定された「情報の自由に関する法」に基づき、他の40あまりの文書と共に公開され、明るみに出ました。具体的な内容は、猫の胴体に小型マイクと電池、さらに尻尾部分にアンテナを埋めこむことで、敵に怪しまれることなく諜報活動を行うというものです。
　猫は特別に訓練され、さらに空腹に伴う注意散漫を予防するため、食欲を感じなくする特別な手術まで施されたと言います。猫の最初の任務は、ワシントンD.C.ウィスコンシン大通り近くの公園で、二人の男の会話を盗聴するというものでした。しかしこの計画はあえなく失敗に終わります。
　理由として通説になっているのは、「通りに放たれるや否や、車に轢（ひ）かれて死んでしまった」と言うものです。しかしこの説には反論があり、CIAの元指揮官であるロバート・ウォレスは「計画が失敗したのは、猫を訓練することの難しさが原因であり、事故ではない。猫は計画の後、各種の機器を体内から取り外し、幸せに暮らした」と主張しています。
　どちらの説が真実であるにしても、結局この計画は「全然使えない」と判断され、1967年には正式にお蔵入りとなりました。なお、この失敗から教訓を得てか、後にアメリカ軍は軍用イルカの実用化に成功しています。 Acoustic Kitty

　以下でご紹介するのは、CIAの諜報活動に協力したことで有名な猫「アコースティックキティ」の写真です。

　アコースティックキティのイメージ画像。計画失敗の原因は「猫を訓練することの難しさ」だったという。

　CIAが公開した文書の一部。「訓練された猫の利用に関する見解」と題されており、「この計画は実用的とはいえない」と結論付けている。文書の出典はこちら。