猫のリーシュマニア症の病態と症状
リーシュマニア症は、リーシュマニア (Leishmania)と呼ばれる原虫が感染することで発症する寄生虫症です。原虫(げんちゅう)とは、他の動物に寄生する性質を持ち、さらに病原性を有している単細胞生物のことを指します。主な宿主は哺乳動物で、サシチョウバエ類が媒介します。熱帯や亜熱帯の88ヶ国で流行しており、およそ1200万人が感染していると推計されています。
犬や人では内臓の症状が強く出る「内臓型」が多くみられますが、猫では皮膚症状が顕著に現れる「皮膚型」が大半です。1ヶ月~数年の潜伏期間を経て、以下のような症状を示します。
犬や人では内臓の症状が強く出る「内臓型」が多くみられますが、猫では皮膚症状が顕著に現れる「皮膚型」が大半です。1ヶ月~数年の潜伏期間を経て、以下のような症状を示します。
リーシュマニア症(皮膚型)の症状
- 過角化によるフケの増加
- 皮膚の肥厚
- 色素の脱色
- 脱毛
- できもの
- 微熱
猫のリーシュマニア症の原因
猫のリーシュマニア症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。リーシュマニアには、鞭毛を持たない「アマスチゴート」と、長い鞭毛を持つ「プロマスチゴート」という2つの形態があり、感染するときの形態は「プロマスチゴート」の方です。
リーシュマニア症の原因
- 刺咬症 地中海、中東、中央~南アフリカ、ヨーロッパ(ポルトガル・スペイン・スイス・フランス・オランダ)などへ渡航した際、サシチョウバエ類に刺されることで感染します。その他メキシコ南部やアメリカのテキサス州でも症例が報告されています。
- 輸血 感染動物の血液を誤って輸血してしまうことなどで感染します。
猫のリーシュマニア症の治療
猫のリーシュマニア症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
リーシュマニア症の治療と予防
- 投薬治療 アロプリノールやアムホテリシンBなどが用いられます。ただし体内から完全に駆逐することが難しいため、継続的なモニタリングと投薬治療が必要です。
- 外科手術 皮膚上に大きな結節ができているような場合は、外科的に切除されることがあります。