猫の再生不良性貧血の病態と症状
猫の再生不良性貧血とは、骨の中にある骨髄が脂肪組織に置き換わり、正常な血液が造られなくなってしまう状態のことです。「汎血球減少症」(はんけっきゅうげんしょうしょう)とも呼ばれます。
四肢の骨、肋骨、背骨の中には「髄腔」(ずいくう)と呼ばれる空間があり、その中は「骨髄」(こつずい)と呼ばれる組織で埋め尽くされています。 骨髄の最も重要な役割は、血液細胞を作るということです。骨髄の中に含まれる「多能性幹細胞」(たのうせいかんさいぼう)という細胞は、赤血球、白血球、血小板という血液成分の全ての源であり、この細胞が障害されると正常な血液が造られなくなってしまいます。再生不良性貧血においては、なぜかこの骨髄が脂肪組織に置き換わり、血液の産生能力が低下してしまいます。
同じ貧血でも、溶血性貧血や猫伝染性貧血の方は一度造られた赤血球が破壊されて生じるのに対し、再生不良性貧血の方は、そもそも赤血球が造られないという特徴を持っています。また、パルボウイルスによる猫汎白血球減少症の方は白血球だけが減るのに対し、再生不良性貧血の方は、赤血球も白血球も血小板も、全てが一様に減少してしまいます。この病気が「汎血球減少症」、すなわち「血球成分が全て減ってしまう病気」と呼ばれるのはこのためです。 猫の再生不良性貧血の症状には以下のようなものがあります。
四肢の骨、肋骨、背骨の中には「髄腔」(ずいくう)と呼ばれる空間があり、その中は「骨髄」(こつずい)と呼ばれる組織で埋め尽くされています。 骨髄の最も重要な役割は、血液細胞を作るということです。骨髄の中に含まれる「多能性幹細胞」(たのうせいかんさいぼう)という細胞は、赤血球、白血球、血小板という血液成分の全ての源であり、この細胞が障害されると正常な血液が造られなくなってしまいます。再生不良性貧血においては、なぜかこの骨髄が脂肪組織に置き換わり、血液の産生能力が低下してしまいます。
同じ貧血でも、溶血性貧血や猫伝染性貧血の方は一度造られた赤血球が破壊されて生じるのに対し、再生不良性貧血の方は、そもそも赤血球が造られないという特徴を持っています。また、パルボウイルスによる猫汎白血球減少症の方は白血球だけが減るのに対し、再生不良性貧血の方は、赤血球も白血球も血小板も、全てが一様に減少してしまいます。この病気が「汎血球減少症」、すなわち「血球成分が全て減ってしまう病気」と呼ばれるのはこのためです。 猫の再生不良性貧血の症状には以下のようなものがあります。
猫の再生不良性貧血の主症状
- 元気がない
- 微熱が続く
- すぐに疲れる
- 赤血球減少による口腔粘膜蒼白
- 白血球減少による免疫力の低下
- 血小板減少による点状出血
猫の再生不良性貧血の原因
猫の再生不良性貧血の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
猫の再生不良性貧血の主な原因
- 免疫系の乱れ 本来なら体を守るべき免疫系統が、何故か自分自身の骨髄を異物とみなし、攻撃を仕掛けて破壊してしまうことで発症すると考えられています。しかしこのメカニズムは人医学における研究からの類推であり、獣医学の領域においてはまだはっきりとは確認されていません。
- 感染 何らかの病原体が骨髄性の貧血を引き起こすことがあります。具体的には、猫エイズウイルス感染症、猫白血病ウイルス感染症、パルボウイルス感染症(猫汎白血球減少症)、エールリヒア症などです。最後の「エールリヒア」とは、マダニが媒介するリケッチアの一種で、猫に感染するものとしては「E.risticii」、「E.equi」などが知られています。
- 化学物質 何らかの化学物質が骨髄性の貧血を引き起こすことがあります。具体的には、エストロゲン、化学療法薬(アザチオプリン・シクロホスファミド etc)、抗菌薬(セファロスポリン・クロラムフェニコール etc)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、アルベンダゾール、カプトプリル、キニジンなどです。
猫の再生不良性貧血の治療
猫の再生不良性貧血の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
猫の再生不良性貧血の主な治療法
- 対症療法 再生不良性貧血において原因を特定できる事はほとんどないため、出てきた症状に対するその場その場の治療が施されます。感染症がある場合は抗生物質や抗菌薬の投与、重度の貧血が見られる場合は輸血などです。一般的に予後は悪く、造血機能が自然回復することはありません。