ピルビン酸キナーゼ欠損症
ピルビン酸キナーゼ欠損症(Pyruvate kinase deficiency, PKDef)とは、赤血球上にあるピルビン酸キナーゼと呼ばれる酵素が欠損することにより十分なエネルギーを産生することができなくなり、赤血球の寿命が縮んで貧血に陥ってしまう病気。診断は血液検査を通した貧血の確認や、遺伝子検査を通した疾患遺伝子の確認などで下します。貧血を根本的に改善するには骨髄移植が必要ですが、現実的ではありません。
疾患遺伝子の保有率
2012年、カリフォルニア大学デイヴィス校の「Genetics Laboratory」に送られてきたDNAサンプル12,630個と、イギリスの「Langford Veterinary Services」に送られてきたDNAサンプル1,549個を対象とし、ピルビン酸キナーゼ欠損症の関連遺伝子保有率を調査しました(→出典)。その結果、アメリカのシンガプーラでは23.0%、イギリスのシンガプーラでは41.4%という極めて高い保有率が確認されたといいます。しかしこれら遺伝子サンプルはすべて、猫の飼い主が「PKdefかもしれないから調査してほしい」という経緯で送られてきたものでした。ですからシンガプーラ全体の縮図というわけではありません。とは言え調査チームは、繁殖過程でアビシニアンの血統が混じった可能性や、1970年代、疾患遺伝子を保有した少数のオス猫やメス猫を用いて繁殖を繰り返した可能性を否定できないとし、シンガプーラの繁殖に際してはピルビン酸キナーゼ欠損症の遺伝子検査を行うべきであると推奨しています。