日本における安全性情報
フィチン酸(phytic acid)はミオイノシトールの6個の水酸基がすべてリン酸エステル化した物質。「イノシトール6リン酸」(IP6)とも呼ばれます。またフィチン酸にマグネシウム、カリウム、カルシウムなどが結合した塩の混合物は「フィチン」と呼ばれます。化学構造式は以下です。
米ぬかやトウモロコシの種子から得られたフィチン酸は、日本では厚生労働省によって既存添加物の酸味料や製造用剤として認められています。また脱脂した米ぬかから得られた、フィチン酸及びペプチドを主成分とするものは特に「コメヌカ酵素分解物」と呼ばれ、既存添加物の酸化防止剤として認可されています。
使用基準は特に設定されていませんが、ラットを対象として行われた反復投与毒性試験において、フィチン酸の無毒性量(NOAEL)は経口摂取で体重1kg当たり1日300mgと推計されています。また変異原性や催奇形性は認められていません(:医薬食品局食品安全部)。
使用基準は特に設定されていませんが、ラットを対象として行われた反復投与毒性試験において、フィチン酸の無毒性量(NOAEL)は経口摂取で体重1kg当たり1日300mgと推計されています。また変異原性や催奇形性は認められていません(:医薬食品局食品安全部)。
海外における安全性情報
海外ではJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)でもEFSA(欧州食品安全機関)でも一日摂取許容量(ADI)や使用基準は設定されておらず、国際がん研究機関(IARC)によって発がん性も確認されていません。
フィチン酸は少量でもpHを低下させることができるため、酸味を高めることなくpHを調整する際に便利です。一方、キレート作用により水溶液中の鉄や亜鉛と結合しますので、大量に摂取すると鉄や亜鉛欠乏症につながる可能性があります。
フィチン酸は少量でもpHを低下させることができるため、酸味を高めることなくpHを調整する際に便利です。一方、キレート作用により水溶液中の鉄や亜鉛と結合しますので、大量に摂取すると鉄や亜鉛欠乏症につながる可能性があります。
猫においては苦味として認識されている可能性が示されていますので、忌避の原因になるかもしれません。