トップ猫の手入れとケア歯磨き粉の成分・大辞典グリチルリチン酸

グリチルリチン酸(甘草)~犬猫向け歯磨き粉の安全性と危険性

 犬猫向け歯磨き粉に含まれている「グリチルリチン酸」。この成分はペットが口にしても大丈夫なのでしょうか?最新の科学的データと共に安全性と危険性を検証しましょう。

日本における安全性情報

 グリチルリチン酸(glycyrrhizinic acid)はトリテルペン系サポニンの一種。マメ科多年生草本である甘草(かんぞう)やリコリスの根や走茎に多く含まれている成分です。砂糖の50~200倍の甘味を有していることから、甘味料として利用されています。 犬猫向け歯磨き粉に含まれている成分「グリチルリチン酸」  日本では「グリチルリチン酸二ナトリウム」が厚生労働省によって既存添加物の「甘味料」として認可されており、しょう油や味噌に使用されています。また「カンゾウ抽出物」(主成分はグリチルレチン酸)、「酵素分解カンゾウ」(主成分はグリチルレチン酸-3-グルクロニド)が指定添加物の「甘味料」として認可されています。使用基準は特に設定されていません。

海外における安全性情報

 JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)やEC(欧州委員会)では、人がグリチルリチン酸を1日100mg以上摂取すると副作用の報告が認められることから、定期摂取量の上限限界を「100mg/人/日」するよう提案しています。またヒト毒性試験から得られた無影響量の最小値が体重1kg当たり1日2mgまで、および1日許容摂取量(ADI)が10mg/人/日という控えめな提案をしている人もいます。
 ヒトにおける有害事象の例としては体重1kg当たり4mgを投与した場合、被験者の大部分に頭痛、吐き気、顔のむくみ、手足の掻痒感が発生し、無投与の群と比べて体重増加、アルドステロン値低下、レニン活性低下、血症中カリウム濃度の低下が観察されたというものがあります。出典資料:動物用医薬品専門調査会
歯磨き粉にはおそらく甘味料として含まれているのでしょうが、副作用を引き起こすリスクもありますので、大量摂取は控えたほうがよいでしょう。