トップ猫の手入れとケア歯磨き粉の成分・大辞典フキエキス

フキエキス~犬猫向け歯磨き粉の安全性と危険性

 犬猫向け歯磨き粉に含まれている「フキエキス」。この成分はペットが口にしても大丈夫なのでしょうか?最新の科学的データと共に安全性と危険性を検証しましょう。

日本における安全性情報

 フキエキスはキク科フキ(Petasites japonicus)の茎および葉から含水エタノールで抽出して得られた粉末のこと。エキスの成分としてはセスキテルペン2種、ポリフェノール6種、トリテルペン配糖体2種のほか、フキノサイドAと呼ばれる新規セスキテルペン配糖体が含まれています出典資料:オリザ油化犬猫向け歯磨き粉に含まれている成分「フキ」(フキエキス)  日本では指定添加物としても既存添加物としても認可されていません。マウスを対象とした14日間の急性毒性試験により、半数致死量(LD50)は体重1kg当たり2g以上と推計されています。一方、長期毒性、遺伝毒性、生殖毒性に関するデータはありません。
 フキエキスの効果効能に関しては、製造を行うオリザ油化が詳細な分析を行っています。フキに特徴的なポリフェノールの一種「フキノール酸」で示唆されている作用は抗酸化活性、コラーゲン分解作用、好中球エラスターゼ阻害活性、エストロゲン活性、血管拡張作用、アミラーゼやカルボキシペプチダーゼに対する阻害活性などです。
 またフキエキス総体では脱顆粒抑制、ロイコトリエン遊離抑制、TNF-α産生抑制といった作用により、アレルギー症状の軽減につながる可能性が示されています。さらに体重1kg当たり500mgのフキエキスを投与すると抗炎症作用が見られたという報告もあるようです出典資料:オリザ油化
 しかしアレルギー症状や炎症が抑制されるほどのフキエキスを、歯磨き粉を通じて摂取するというのは犬でも猫でも人間でも現実的ではないでしょう。

海外における安全性情報

 海外ではJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)でもEFSA(欧州食品安全機関)でも一日摂取許容量(ADI)や使用基準は設定されておらず、国際がん研究機関(IARC)によって発がん性も確認されていません。
 フキは日本原産の植物で、海外においてはほとんど食されていないため、安全性に関する調査が行われていないというのが実際のところです。
長期毒性、遺伝毒性、生殖毒性などに関するデータがありませんので、当サイト内では「安全ではない成分」に分類します。