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オリーブオイル~安全性と危険性から適正量まで

 キャットフードのラベルに記された「オリーブオイル」。この原料の成分から安全性と危険性までを詳しく解説します。そもそも猫に与えて大丈夫なのでしょうか?また何のために含まれ、猫の健康にどのような作用があるのでしょうか?

オリーブオイルの成分

 オリーブは高さ2~18mの常緑高木。実(み)は食用になったり搾り取った植物油をオリーブオイルとして利用したりします。 キャットフードの成分として用いられる「オリーブオイル」  オリーブオイルの特徴はオレイン酸を多く含んでいることで、人間を対象とした調査では循環器系疾患や便秘のリスクを減らす可能性が示されています。その他の含有成分はリノール酸、パルミチン酸、脂溶性ビタミンなどです。

オリーブオイルは安全?危険?

 オリーブオイルを猫に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?以下でご紹介するのはオリーブオイルに関して報告されている安全性もしくは危険性に関する情報です。

オレイン酸

 オレイン酸(oleic acid)はラード(豚脂)やタロー(牛脂)などの動物性脂肪やオリーブオイルを始めとする植物油に多く含まれている脂肪酸の一種。必須脂肪酸であるリノール酸やα-リノレン酸の前駆物質です。
 一般的に「悪玉コレステロール」と称されるLDLコレステロールを減らし、逆に「善玉コレステロール」と称されるHDLコレステロールを増やす効果があるとされていますが、完全には証明されていません。またオリーブオイルが持つ降圧作用の原因物質として想定されていますが、こちらも証明はされていません。
 オレイン酸を皮膚に直接塗りつけた場合、表面にある角質層の脂質構造が崩れ、バリア機能が弱まる危険性が指摘されています。

オレオカンタール

 オレオカンタール(Oleocanthal)は、エクストラ・ヴァージン・オリーブ・オイルから抽出された天然有機化合物。シクロオキシゲナーゼ(COX-1とCOX-2)と呼ばれる酵素の働きを阻害することにより抗炎症作用を発揮すると考えられています。
 オリーブオイルにオレオカンタールが200μg/ml(200ppm)の濃度で含まれており、毎日50g摂取すると想定した場合、オレオカンタールの摂取量はおよそ9mgとなり、抗炎症薬イブプロフェンのほぼ10%に相当するとの推計があります出典資料:Beauchamp, 2005
 また別の調査ではアルツハイマー性痴呆症の原因物質である β-アミロイドの 蓄積を抑制することにより、神経防御機能があるのではないかと考えられています出典資料:Abuznait, 2013
 抗炎症作用にしても神経防御機能にしても、まだ完全に証明されたわけではありません。また体内における代謝経路も完全には解明されていませんので、猫における安全性、危険性、および適正量に関しては今のところ不明です。
ガーリック(にんにく)を含んだオリーブオイルは猫に使用しないでください。中に含まれるアリシン類似物質が接触性アレルギー喘息性発作の原因になることがあります。