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ワカメ~安全性と危険性から適正量まで

 キャットフードのラベルに記された「ワカメ」。この原料の成分から安全性と危険性までを詳しく解説します。そもそも猫に与えて大丈夫なのでしょうか?また何のために含まれ、猫の健康にどのような作用があるのでしょうか?

ワカメの成分

 ワカメとはコンブ目チガイソ科に属する海藻の一種。アルギン酸の供給源として用いられます。 キャットフードの成分として用いられる「ワカメ」  ワカメはコンブと同じように内部にヨウ素を含んでおり、またヒジキと同じようにヒ素を含んでいます。ヨウ素に関しては100g中の含有量がコンブ179mgに対してワカメ8.7mg、ヒ素に関しては1kg中の総ヒ素含有量が乾燥ひじき93mgに対して乾燥ワカメ33mgとなっていますので、コンブとヒジキのちょうど中間の性質を持っているというイメージです。

ワカメは安全?危険?

 ワカメを猫に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?以下でご紹介するのはワカメに関して報告されている安全性もしくは危険性に関する情報です。

ワカメペプチド

 人間用の食品として「ワカメペプチド」というものがあり、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害作用を有するペプチドを含むため血圧を下げる効果があると謳われています。猫に対する効果は不明で、安全性、危険性、および適正量に関するデータはまったくそろっていません。

アルセノシュガーとアルセノリピッド

 ワカメを始めとする褐藻類においては近年「アルセノシュガー」や「アルセノリピッド」といったヒ素含有成分の存在が懸念されています。アルセノシュガーとは炭化水素とヒ素が結合した分子の総称で、褐藻類>紅藻類>緑藻類の順で多く含まれています。アルセノリピッドはヒ素を含む脂質の総称で、海産動植物に広く存在していることが確認されています。
 大阪市立大学が中心となった調査では、上記したアルセノシュガーやアルセノリピッドの代謝過程は未解明であり、その安全性についても未だほとんど解明されていないとのこと。少なくとも判明しているのは、「アルセノシュガーおよびアルセノリピッド代謝過程でDMA(V)が生成され尿中に排出される」「DMA(V)の一部は腸内細菌により代謝されDMMTAという物質に変わる」「DMMTAはDMA(V)に比べ、膀胱上皮細胞に対してはるかに強い毒性を有しており、がんを誘発する危険性がある」ということです(食品安全委員会)
ヒ素含有成分の代謝経路は人間だけでなく猫においても解明されていませんので、いつ未知の健康被害が出てもおかしくありません。猫におけるワカメの安全性、危険性、および適正量に関するデータはまったくそろっていないというのが現状です。