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イナゴ豆~安全性と危険性から適正量まで

 キャットフードのラベルに記された「イナゴ豆」。この原料の成分から安全性と危険性までを詳しく解説します。そもそも猫に与えて大丈夫なのでしょうか?また何のために含まれ、猫の健康にどのような作用があるのでしょうか?

イナゴ豆の成分

 イナゴ豆(carob)は地中海地方原産のマメ科ジャケツイバラ亜科の常緑高木。さや、果肉、種子が人間用の食料になったり家畜の飼料になったりします。 キャットフードの成分として用いられる「イナゴ豆」  果肉を乾燥させたものは「キャロブ」 (carob)、さらにそれを粉末状にした食品は特に、「キャロブパウダー」と呼ばれます。キャロブパウダーはコーヒーやココアの代用品として用いられることで有名です。

イナゴ豆は安全?危険?

 イナゴ豆を猫に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?以下でご紹介するのはイナゴ豆に関して報告されている安全性もしくは危険性に関する情報です。

キャロブ

 キャロブはいなご豆の果肉を乾燥させたもの。安全性は高く、アメリカのFDA(食品医薬品局)では「GRAS」(一般的に安全とみなされた物質)に認定されており、清涼飲料、コンポート(砂糖菓子)、リキュール、お菓子などの原料として用いられます。イナゴ豆の果実を乾燥させたキャロブ(カロブ) また日本では厚生労働省によって既存添加物として認可されています。具体的には以下です。なおキャロブは「カロブ」と表記されており、使用基準はありません。
既存添加物としてのキャロブ
  • カロブ色素イナゴマメの種子の胚芽を粉砕して得られたもの。カロブジャームとも呼ばれ着色料や製造用剤として使用される。
  • カロブビーンガムイナゴマメの種子の胚乳を粉砕し、又は溶解し、沈殿して得られたもの。ローカストビーンガムとも呼ばれ増粘安定剤として使用される。
 人間向けの食品としては、その長い使用歴から「まぁ大丈夫だろう」とみなされていますが、猫を対象とした給餌試験をしたわけではありませんので、安全性、危険性、および適正量に関してはよくわかっていないのが現状です。イナゴマメガムを経口投与した場合、半数致死量(LD50)はラット(マウス)で体重1kg当たり13g程度と推計されています。

ピニトール

 ピニトールはマメ科の植物に存在する天然の物質。乾燥果実であるキャロブのさやから抽出されるピニトールは、インシュリンのように血糖値を下げる作用出典資料:Sarah H Bates, 2000や、抗炎症作用出典資料:R.K.Singh, 2001があるのではないかと考えられています。
猫におけるイナゴ豆安全性、危険性、および適正量に関してはよくわかっていません。キャロブを原料とした犬向けチョコレートが売られていますが、猫は甘みを感じないので無意味でしょう。なお間違えて通常のチョコは絶対に与えないでください。