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しいたけ~安全性と危険性から適正量まで

 キャットフードのラベルに記された「しいたけ」。この原料の成分から安全性と危険性までを詳しく解説します。そもそも猫に与えて大丈夫なのでしょうか?また何のために含まれ、猫の健康にどのような作用があるのでしょうか?

しいたけの成分

 しいたけ(椎茸)は日本、中国、韓国などで食用にされているきのこの一種。国際的には「shiitake」の名で知られています。キャットフードの成分として用いられる「しいたけ」(椎茸) 主な含有成分は多糖であるレンチナン、ビタミンDの前駆体であるエルゴステロール、オレイン酸、リノール酸、ビタミンB群などです。また旨味成分として、5'-グアニル酸を豊富に含むため、特に乾燥したものは出汁(ダシ)をとるのにも使われます。

しいたけは安全?危険?

 しいたけを猫に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?以下でご紹介するのはしいたけに関して報告されている安全性もしくは危険性に関する情報です。

レンチナン

 レンチナン(lentinan)はしいたけの子実体から抽出した多糖体を精製した物質のことです。人医学の分野では、抗がん剤の一種として静脈内注射または点滴静脈注射という形で用いられます。作用はマクロファージ、T細胞、NK細胞といった免疫細胞の賦活化です。
 ペットフードのラベルに「しいたけ」と記載されているからといって、レンチナンが含まれているわけではありません。また仮にレンチナンが含まれていたとしても、猫が摂取したときの健康増進効果、および健康被害に関してはまったくデータがありません。ですから安全とも危険とも言えず、適正量もわかっていないのが現状です。

未知の成分

 しいたけに含まれる未知の成分がアレルギー症状を引き起こす危険性があります。その代表格がしいたけ皮膚炎と呼ばれる症状です。
 しいたけ皮膚炎とはしいたけを食べた後、皮膚に炎症が生じる現象のこと。症例は生しいたけ、焼きしいたけ、煮出し汁、スナック菓子の全てで報告されていますので、熱によっては容易に分解されない「何か」が原因になっていると推測されます。
 よくある症状はかゆみ、紅斑、発疹、丘疹などです。1974~2004年の30年間に日本国内でしいたけ皮膚炎を発症した105名(平均50.9歳)を調査した所、4月に発症のピークがみられたといいます。またしいたけパウダーに関しては、薬用目的で1日4gを10週間以上摂取すると、好酸球増加症を引き起こす危険性が指摘されています(Nakamura, 1991)
 しいたけをアレルゲンとしたしいたけ皮膚炎の猫における症例報告はありません。ただしこれは「犬や猫がしいたけに対してアレルギー反応を示さない」という意味ではありませんので要注意です。皮膚のかゆみや赤みの原因は、ひょっとするとフードに含まれている微量のしいたけ成分かもしれませんので、「しいたけ皮膚炎」というキーワードは覚えておいて損はないでしょう。
猫が原因不明の皮膚炎を発症したときは、キャットフードのラベルに「しいたけ」が無いかどうかを確認してみましょう。しいたけを含まないフードに変えて症状が軽減したら犯人だった可能性が高まります。