瞬間移動に対する猫の反応
調査を行ったのは京都大学心理学部のチーム。猫カフェのスタッフ猫27頭(平均4.81歳)と一般家庭で飼育されているペット猫23頭(平均6.61歳)を対象とし、以下のような状況を設けることで瞬間移動マジックを再現しました。
さて、上記した手順に沿って猫たちの反応を観察し、データ収集上の不備から5頭を除外した上で解析した結果、スピーカー1から飼い主の声を繰り返し流した直後、遠く離れたスピーカー2から飼い主の声を流した時に限り、まるで何かに驚いたかのような反応が観察されたといいます。具体的には音源へ耳を向ける、音源へ顔を向けて見る、瞳孔を開く、音源の方へ移動するなどです。 同様の瞬間移動再現実験を「顔なじみの猫の声(ミャ~オ)」および「無生物の音(440~1481Hz/詳細不明)」で行いましたが、飼い主の声と同じ反応は確認されませんでした。
こうした結果から調査チームは、猫たちが音声的な情報だけから心的表象(頭の中で思い描くイメージ)を抱き、自分との位置関係まで含めて把握する社会空間認知の能力を有している可能性が高いとの結論に至りました。 Socio-spatial cognition in cats: Mentally mapping owner’s location from voice
Takagi S, Chijiiwa H, Arahori M, Saito A, Fujita K, Kuroshima H (2021) , PLoS ONE 16(11): e0257611, DOI:10.1371/journal.pone.0257611
瞬間移動再現実験
- 最低4mの距離をあけて2ヶ所にスピーカーを置く
- 室外にあるスピーカー1から飼い主が猫の名前を呼ぶ声を5回流す
- 慣れたタイミングで室内にあるスピーカー2から飼い主のもしくは別人の声を1回だけ流す
- 猫のリアクションを観察する
さて、上記した手順に沿って猫たちの反応を観察し、データ収集上の不備から5頭を除外した上で解析した結果、スピーカー1から飼い主の声を繰り返し流した直後、遠く離れたスピーカー2から飼い主の声を流した時に限り、まるで何かに驚いたかのような反応が観察されたといいます。具体的には音源へ耳を向ける、音源へ顔を向けて見る、瞳孔を開く、音源の方へ移動するなどです。 同様の瞬間移動再現実験を「顔なじみの猫の声(ミャ~オ)」および「無生物の音(440~1481Hz/詳細不明)」で行いましたが、飼い主の声と同じ反応は確認されませんでした。
こうした結果から調査チームは、猫たちが音声的な情報だけから心的表象(頭の中で思い描くイメージ)を抱き、自分との位置関係まで含めて把握する社会空間認知の能力を有している可能性が高いとの結論に至りました。 Socio-spatial cognition in cats: Mentally mapping owner’s location from voice
Takagi S, Chijiiwa H, Arahori M, Saito A, Fujita K, Kuroshima H (2021) , PLoS ONE 16(11): e0257611, DOI:10.1371/journal.pone.0257611
猫はマジックに驚いたのか?
瞬間移動マジックと似たような状況を再現したところ、猫たちはまるでMr.マリックショーの観客のように驚いたかのようなリアクションを見せました。しかし全く別の解釈も可能です。
例えば移動主体として利用した「飼い主(猫カフェの場合は世話人)の声」は、エサやマッサージといった報酬と強固に結びついた音声的情報です。猫たちが見せたリアクションはテレポーテーションやドッペルゲンガーなど、現実世界ではありえない現象に驚いたためではなく、ただ単に重要なリソース源と自分との位置関係を確かめたかっただけかもしれません。
比較対象として用いられたのは無生物の音(詳細不明)や他の猫の鳴き声など、自分の生死にはなんの影響も持たない中立的なものでしたが、これらを「ネコ缶を開ける音」「カラスの鳴き声」「雷鳴」など、死活問題に直結した情報に置き換えると、同じリアクションが観察される可能性もあるでしょう。
ちなみに科学的検証でもなんでもなく単なる遊びの延長ですが、飼い主が突然姿を消すなんちゃってマジックを見せた時の、猫たちのリアクションが動画に記録されています。直感的には何となく驚いている印象を受けますので「テレポーテーション」とか「ドッペルゲンガー」はありえないという、基本的な認識はやはりあるのでしょうかね。
例えば移動主体として利用した「飼い主(猫カフェの場合は世話人)の声」は、エサやマッサージといった報酬と強固に結びついた音声的情報です。猫たちが見せたリアクションはテレポーテーションやドッペルゲンガーなど、現実世界ではありえない現象に驚いたためではなく、ただ単に重要なリソース源と自分との位置関係を確かめたかっただけかもしれません。
比較対象として用いられたのは無生物の音(詳細不明)や他の猫の鳴き声など、自分の生死にはなんの影響も持たない中立的なものでしたが、これらを「ネコ缶を開ける音」「カラスの鳴き声」「雷鳴」など、死活問題に直結した情報に置き換えると、同じリアクションが観察される可能性もあるでしょう。
ちなみに科学的検証でもなんでもなく単なる遊びの延長ですが、飼い主が突然姿を消すなんちゃってマジックを見せた時の、猫たちのリアクションが動画に記録されています。直感的には何となく驚いている印象を受けますので「テレポーテーション」とか「ドッペルゲンガー」はありえないという、基本的な認識はやはりあるのでしょうかね。
瞬間移動と猫の反応