骨形成不全症とは?
骨形成不全症(Osteogenesis imperfecta)とはI型コラーゲン線維が正常に生成されず、骨が病的にもろくなってしまう遺伝性の病気。主な症状は成長期における骨の融合不全や反復的な骨折、および骨折に起因する骨格の変形などです。人医学の分野では主として「COL1A1」および「COL1A2」と呼ばれる遺伝子の変異によって引き起こされると考えられています。
2022年、猫においては「CREB3L1遺伝子」の変異が発症に関わっている可能性が示されました。調査対象となったのは成長の遅延と歩行不全を主訴として栃木県内の動物病院を受診した生後2ヶ月齢の子猫。エックス線検査で数多くの骨における不透過性減少(骨密度の低下)が見られ、大腿骨や脛骨を含む長骨で複数の骨折が認められたといいます。また成長板から伸びる海綿骨内では類骨や骨芽細胞の減少が見られたとも。
皮膚から採取したDNAを解析に回した結果、CREB3L1遺伝子のエクソン3におけるホモ接合型フレームシフト変異が発見されました。この突然変異によって終止コドンの未成熟につながり、短縮タンパクが形成されてコラーゲン繊維が不完全になったのではないかと推測されました(:Takanosu, 2022)。
人間や犬では確認されてる骨形成不全症ですが、猫における症例が少なく、診断基準ははっきりしていません。2020年10月、当症が強く疑われる症例が韓国の忠北大学校によって報告されましたのでご紹介します。 Long-term follow-up of a cat with an undetermined osteoporotic bone disease managed with multiple intramedullary pins
Dongwook Kim, Hyejong Oh, Ki-Jeong Na, Dongwoo Chang and Gonhyung Kim, Journal of Feline Medicine and Surgery Open Reports(2020), DOI: 10.1177/2055116920964012
2022年、猫においては「CREB3L1遺伝子」の変異が発症に関わっている可能性が示されました。調査対象となったのは成長の遅延と歩行不全を主訴として栃木県内の動物病院を受診した生後2ヶ月齢の子猫。エックス線検査で数多くの骨における不透過性減少(骨密度の低下)が見られ、大腿骨や脛骨を含む長骨で複数の骨折が認められたといいます。また成長板から伸びる海綿骨内では類骨や骨芽細胞の減少が見られたとも。
皮膚から採取したDNAを解析に回した結果、CREB3L1遺伝子のエクソン3におけるホモ接合型フレームシフト変異が発見されました。この突然変異によって終止コドンの未成熟につながり、短縮タンパクが形成されてコラーゲン繊維が不完全になったのではないかと推測されました(:Takanosu, 2022)。
人間や犬では確認されてる骨形成不全症ですが、猫における症例が少なく、診断基準ははっきりしていません。2020年10月、当症が強く疑われる症例が韓国の忠北大学校によって報告されましたのでご紹介します。 Long-term follow-up of a cat with an undetermined osteoporotic bone disease managed with multiple intramedullary pins
Dongwook Kim, Hyejong Oh, Ki-Jeong Na, Dongwoo Chang and Gonhyung Kim, Journal of Feline Medicine and Surgery Open Reports(2020), DOI: 10.1177/2055116920964012
骨形成不全症に似た猫の症例
患猫は生後3ヶ月齢になるオスのチンチラ。初期症状は右大腿骨の骨幹部骨折に起因する荷重不全と痛みでした。治療としては非観血的整復とキルシュナー鋼線の髄内埋め込みが行われ、一度は退院しました。
しかし手術から1ヶ月後に鋼線を除去したところ、わずか数日で今度は右脛骨遠位骨幹端部に骨折が発生したといいます。原因はやや高い場所から飛び降りたことと推定されました。患部に対して大腿骨と同様の手術を行ったものの、その後もスリップが原因と思われる別の骨折が見られたため、予防を兼ねた長骨内への鋼線埋め込みが行われました。 全血球計算で異常は見られず、血清カルシウム、リン、イオン化カルシウム、副甲状腺ホルモン、ビタミンD濃度はすべて正常範囲内だったことから、病的な骨折を引き起こす原発性、栄養性、腎性の副甲状腺機能亢進症の可能性はすべて除外されました。
CTスキャンで第12胸椎および第4腰椎にある小柱状骨のミネラル濃度を測定した結果、正常な猫に比べて低いことが判明。また手術で除去した骨の一部を生化学的に検査した結果、不整形で浅薄化した皮質骨やハバース管の直径拡大などの異常が確認されました。
除外診断の結果と合わせ、医療チームが下した病名は「骨形成不全症」。ただし猫における存在自体が未確認であることから、診断は暫定的なものとされました。
しかし手術から1ヶ月後に鋼線を除去したところ、わずか数日で今度は右脛骨遠位骨幹端部に骨折が発生したといいます。原因はやや高い場所から飛び降りたことと推定されました。患部に対して大腿骨と同様の手術を行ったものの、その後もスリップが原因と思われる別の骨折が見られたため、予防を兼ねた長骨内への鋼線埋め込みが行われました。 全血球計算で異常は見られず、血清カルシウム、リン、イオン化カルシウム、副甲状腺ホルモン、ビタミンD濃度はすべて正常範囲内だったことから、病的な骨折を引き起こす原発性、栄養性、腎性の副甲状腺機能亢進症の可能性はすべて除外されました。
CTスキャンで第12胸椎および第4腰椎にある小柱状骨のミネラル濃度を測定した結果、正常な猫に比べて低いことが判明。また手術で除去した骨の一部を生化学的に検査した結果、不整形で浅薄化した皮質骨やハバース管の直径拡大などの異常が確認されました。
除外診断の結果と合わせ、医療チームが下した病名は「骨形成不全症」。ただし猫における存在自体が未確認であることから、診断は暫定的なものとされました。
骨形成不全症の予後
仮の診断が下ったからと言って患猫の予後が平坦になるわけではありません。
最初の手術から3ヶ月後には背骨の棘突起骨折、5ヶ月後には肋骨骨折、7ヶ月後には骨盤骨折が発生しました。また1年後にはワイヤーが埋め込まれていた尺骨近位端の骨折、第4~5胸椎の脱臼、骨折に起因する胸郭の変形、象牙質形成不全症に伴う右下顎犬歯の破折が現れました。埋め込んだ鋼線が緩むごとに再手術が必要となり、断続的な鎮痛薬の投与が行われたとのこと。
不明な理由で死亡するまでの3年間、骨折と癒合を繰り返した結果はエックス線画像で明白に確認できたといいます。 まったくの偶然ですが2020年9月、日本国内でも骨形成不全症が強く疑われる子猫がSNS上で話題になりました。道程は長く険しいでしょうが、苦痛を味わうことなく長生きさせてあげたいものです。
最初の手術から3ヶ月後には背骨の棘突起骨折、5ヶ月後には肋骨骨折、7ヶ月後には骨盤骨折が発生しました。また1年後にはワイヤーが埋め込まれていた尺骨近位端の骨折、第4~5胸椎の脱臼、骨折に起因する胸郭の変形、象牙質形成不全症に伴う右下顎犬歯の破折が現れました。埋め込んだ鋼線が緩むごとに再手術が必要となり、断続的な鎮痛薬の投与が行われたとのこと。
不明な理由で死亡するまでの3年間、骨折と癒合を繰り返した結果はエックス線画像で明白に確認できたといいます。 まったくの偶然ですが2020年9月、日本国内でも骨形成不全症が強く疑われる子猫がSNS上で話題になりました。道程は長く険しいでしょうが、苦痛を味わうことなく長生きさせてあげたいものです。
【チャッピーの重大なご報告】
— ならまる (@NyanNekoneko2) September 13, 2020
原因不明の難病と診断されました。
次々と骨が折れてしまう病気です。
このような症状の猫ちゃんについて、情報を集めています。
拡散よろしくお願い致します。
#拡散希望 #猫 #難病 #原因不明 #骨形成不全症 #骨折 pic.twitter.com/efkPdyub0g