猫の尋常性白斑とは?
尋常性白斑(じんじょうせいはくはん, vitiligo)とは、皮膚や毛髪に含まれるメラニン細胞が機能不全に陥り、色素が正常に形成されなくなる後天的疾患のことです。人間においては皮膚、毛髪、唇、口腔内(口の中)の部分的な色素脱落といった症状として現れます。世界的なスター、マイケル・ジャクソンさんが患っていたことでも有名です。
獣医学の領域にもこの病気が存在しており、犬や馬のほか、少数ながら猫においても確認されています。症状は人間におけるものと同じで、皮膚や被毛からの部分的な色素脱落が起こります。例えば以下のような感じです。症状は進行性で年齢を重ねるごとに脱色部分が増えていきます。
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人間においては自己免疫性の甲状腺疾患、全身性エリテマトーデス、アジソン病といった全身性疾患との関係性が疑われていますが、猫において同様の関係性は確認されていません。この病気を発症したからといって健康が悪化したり寿命が縮むと言ったことは、基本的にはないと考えられます。
NEXT:尋常性白斑の原因は?
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尋常性白斑の原因
尋常性白斑の原因は人医学においても獣医学においてもよく分かっていません。可能性として検証されているものは以下です。多くの場合、どれか一つの原因で発症するのではなく、複数の原因が複合的に作用して発症するものと考えられています。なお「コーブナー現象」(Koebner phenomenon)とは、皮膚に加えられた直線状の外的ストレスによって輪郭のはっきりした病変が出現することです。
1986年、尋常性白斑を発症した犬17頭、猫4頭、 馬3頭を対象として行われた調査では、全ての動物の血中において色素細胞表面上の抗原に対応する抗体が確認されたと言います。それに対し、尋常性白斑を発症していない動物から同様の抗体は一切検出されませんでした(Naughton, 1986)。こうした事実から、動物における尋常性白斑は免疫系細胞が自分自身の体組織を攻撃してしまう自己免疫疾患の一種である可能性が高いと推測されています。
NEXT:尋常性白斑の治療法は?
尋常性白斑の発症要因
- 遺伝
- 機械的なストレスに伴うコーブナー現象(※)
- 心理的なストレス
- メラニン細胞の抗酸化力低下
- 細菌叢の乱れ
- メラニン細胞と角質細胞の統合性喪失
1986年、尋常性白斑を発症した犬17頭、猫4頭、 馬3頭を対象として行われた調査では、全ての動物の血中において色素細胞表面上の抗原に対応する抗体が確認されたと言います。それに対し、尋常性白斑を発症していない動物から同様の抗体は一切検出されませんでした(Naughton, 1986)。こうした事実から、動物における尋常性白斑は免疫系細胞が自分自身の体組織を攻撃してしまう自己免疫疾患の一種である可能性が高いと推測されています。
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尋常性白斑の治療
尋常性白斑の原因が定かでないため、それに対する治療法もケースバイケースになります。欧州皮膚科学フォーラム尋常性白斑ガイドライン小委員会によって推奨されている、人医学における基本的な治療法は以下の4段階です。
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尋常性白斑の治療ガイドライン
- 狭帯域の紫外線B波照射
- 全身への糖質コルチコイド投与
- 外科的な自家皮膚移植
- 有色素部分の脱色
犬の尋常性白斑治療事例
- キサントトキシン+日光浴
- ソラレン+紫外線照射
- 全身への糖質コルチコイド投与
- 副腎皮質刺激ホルモン注射
- ドキシサイクリン-ナイアシンアミド
- 甲状腺サプリメント
- L-フェニールアラニン
- ビタミンとミネラルサプリ
- 食事療法
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飼い主として注意すべきこと
人間における尋常性白斑は、外部に露出する手や顔といった皮膚の色素が脱落するため、患者の心理に対して多大な負担をかけます。一方、犬や猫といった動物の場合、自分の見た目を気にするということはありませんので、被毛がまだらになることで落ち込んでしまうということはないでしょう。
Autoimmune diseases affecting skin melanocytes in dogs, cats and horses
猫においては被毛の部分的な色素脱落のほか、鼻の表面、眼球周辺、肉球といった部分に病変が現れやすいので、習慣的にチェックするようにしましょう。
また飼い主として注意すべき事があるとすれば直射日光です。日光浴や紫外線照射で症状が改善したという報告もありますが、過度に陽の光を浴びると紫外線が細胞内のDNAに直接的に作用して変異が起こりやすくなります。色素が脱落することによって紫外線バリアがなくなった状態ですので、皮膚がんを発症するリスクが高いと考えたほうが良いでしょう。 elli.vitiligo(Instagram) 先述したように、尋常性白斑と全身性疾患との関係性は確認されておらず、色素が脱落したからと言って寿命が縮むわけではありません。まだら模様を個性と捉えて気にしないというのも一つの選択肢といえます。
また飼い主として注意すべき事があるとすれば直射日光です。日光浴や紫外線照射で症状が改善したという報告もありますが、過度に陽の光を浴びると紫外線が細胞内のDNAに直接的に作用して変異が起こりやすくなります。色素が脱落することによって紫外線バリアがなくなった状態ですので、皮膚がんを発症するリスクが高いと考えたほうが良いでしょう。 elli.vitiligo(Instagram) 先述したように、尋常性白斑と全身性疾患との関係性は確認されておらず、色素が脱落したからと言って寿命が縮むわけではありません。まだら模様を個性と捉えて気にしないというのも一つの選択肢といえます。