詳細
調査を行ったのは、フランス・ロイヤルカナンリサーチセンターのチーム。「UWB」(超広帯域無線)と呼ばれる精度の高い位置検出技術を用い、完全に室内で飼育されている猫たちの活動パターンを24時間体制で2週間観察しました。
調査対象となったのは、ロイヤルカナンの研究施設で飼育されている6頭(平均3歳 | 全て不妊手術済み | 4頭はメス)の猫たち。猫の位置情報を発信するバッテリー内蔵型UWBタグ(38mm×39mm×16.5mm/体重の0.6%に相当する25g)を首輪に装着すると同時に、位置情報を受信するUWBアンテナ(Ubisense®)7つを部屋の角に置いて、室内の全域がカバーされるようにセッティングしました。位置の検出誤差は平均12cmです。 生活空間を「室内エリア」(22.5m2)と「室外エリア」(7m2)とに分け、人間の入室を1日2時間強に制限した上で猫たちの自発的な活動パターンを記録した所、以下のような事実が明らかになったといいます。数値はすべて「1日当たり」です。
Parker Marine et al., Journal of Veterinary Behavior(2017), doi.org/10.1016/j.jveb.2017.06.003
調査対象となったのは、ロイヤルカナンの研究施設で飼育されている6頭(平均3歳 | 全て不妊手術済み | 4頭はメス)の猫たち。猫の位置情報を発信するバッテリー内蔵型UWBタグ(38mm×39mm×16.5mm/体重の0.6%に相当する25g)を首輪に装着すると同時に、位置情報を受信するUWBアンテナ(Ubisense®)7つを部屋の角に置いて、室内の全域がカバーされるようにセッティングしました。位置の検出誤差は平均12cmです。 生活空間を「室内エリア」(22.5m2)と「室外エリア」(7m2)とに分け、人間の入室を1日2時間強に制限した上で猫たちの自発的な活動パターンを記録した所、以下のような事実が明らかになったといいます。数値はすべて「1日当たり」です。
猫の活動パターン(1日単位)
- 移動距離平均965m(600~1600m)
- 移動時間平均30.1%(21%~41%)
- 活動のピーク✓AM6時=48m
✓AM8~9時=91m
✓PM2~3時=42m
✓PM9時(日没)=50m - 休息場所の使用時間✓壁際の棚=11時間22分
✓キャットツリー=4時間10分
✓椅子=7分
✓エンリッチ(遊び場)=1時間4分
✓食餌エリア=1時間3分
✓水飲みエリア=10分
✓トイレ=8分 - 猫同士のコンタクト53回/24時間中18分
- 人間とのコンタクト32回/2時間中4分
Parker Marine et al., Journal of Veterinary Behavior(2017), doi.org/10.1016/j.jveb.2017.06.003
解説
1日のうち移動に費やしてる時間のトータルが30%程度であることが明らかになりました。この結果は、「6.3m2の室内で飼育されている猫では、トータルの移動時間が全体の24.5%になる」という過去の報告と重なります(→出典)。またグルーミングなどの時間を除き、猫たちは1日のおよそ65%に相当する15時間40分を休息場所でじっと動かずに過ごしました。研究所の猫を対象とした過去の観察でも55~70%は眠っていたとされていますので、猫はやはり「寝子」ということなのでしょう(→出典)。
猫たちの活動性が最も高まったAM8~9時は、餌を補給するために人間が入室した時間に一致しています。この傾向は、アメリカ・ノースカロライナ州立大学の調査チームが行った観察結果と同じです。こちらの調査では「人間の活動パターンに合わせ、朝の鋭い活動性ピークと夕方の緩やかな活動性ピークが見られた」と報告されています(→詳細)。
日没が近づく頃になるとやや活動性が高まった理由は、薄明薄暮性の名残かもしれません。この仮説を裏付けるかのように、人間が介入しない状況では、日中の活動性は中等度で夜間の活動性が高かったと報告されています(→出典)。
他の猫との交流が最も少なかった「フルーレット」という猫は、6頭の中で唯一、他の猫達との血縁関係がありませんでした。この事実は、血縁関係のない猫同士では交流時間が減るという過去の報告に一致します(→出典)。多頭飼いする時はきょうだい猫の方が良いと言われるのにはそれなりの理由があるわけです。
休息エリアの中でも壁際の棚(11時間)やキャットツリー(4時間)が好まれ、椅子はほとんど使われないことが明らかになりました。室内の棚に比べると視界が開けすぎており、キャットツリーに比べると休息場所が低いことが忌避の原因になったのではないかと推測されています。逆に言えば、しっかりとした隠れ場所がある高い場所が好まれるということになります。この知見は猫にとってストレスの少ない環境を整備する際に重要となるでしょう。