詳細
報告を行ったのは、スペイン・バレンシア工科大学のチーム。現在市場に出回っているタッチスクリーンを用いた猫用デジタルおもちゃを次のレベルへ進化させるため、一体どのような刺激が猫の遊び欲求に火をつけるのかを調査しました。観察対象となったのは4頭の子猫(1~3ヶ月齢)と3頭の成猫(2~5歳)。11.80m×7.20mの部屋に1.8m×2mのプレイスペースが設けられ、以下のような刺激が提示されました。
遊びを誘発する刺激
- 音刺激犬の鳴き声・猫の鳴き声・子猫の鳴き声・鳥のさえずり・女性の話し声・車のクラクション
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【結果】成猫も子猫も無反応。 - 触覚刺激球形の「Sphero®」とドローン型の「Parrot®Jumping Sumo」という既成品。いずれもスマホで遠隔操作が可能。
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【結果】成猫は物怖じしないが、積極的に遊びもしない。子猫は初め警戒するが、次第に遊び始める。しかし大きい「Parrot®Jumping Sumo」の方は敬遠された。 - 視覚刺激プロジェクターから床に投影されたネズミの像。ネズミの数は変更可能。動きは短距離をパッと移動するタイプと、長距離をちょこまか移動するタイプ
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【結果】成猫よりも子猫の方が興味を示した。子猫のうちしきりに遊んだのは2頭だけ。ネズミの数が多いほど遊び行動が減った。
解説
以下は、今回の調査で用いられた「Sphero®」と「Parrot®Jumping Sumo」という遠隔操作型のデジタルおもちゃです。値段はそこそこしますが、やんちゃざかりを過ぎた成猫の場合、あまり興味を示してくれないかもしれません。また、猫はあまりにも大きいものは獲物として認識しないため、そもそも狩猟本能がかき立てられない可能性もあります。
一方以下は、次世代型のデジタルおもちゃとして考えられているセッティングの一例です。部屋の上部に取り付けられたモニターが、猫の視野や遊びに興じている時に見せる特徴的な動き(身を伏せる・待ち伏せする・お尻を振ってスタートダッシュの用意をする)を認識し、適切なタイミングで適切な場所に適切な刺激を映し出します。
ただしこうした大がかりなセットも、成長して遊び心を失ってしまった猫には無意味かもしれません。猫を効果的に遊ばせる時のコツは、何よりも「飽きさせないこと」です。お金をかけて変化の少ないおもちゃを買うよりも、安いコストで紐の先っぽにつける「ルアー」を2~3日サイクルで交換した方が、猫の好奇心をより刺激してくれると思います。