詳細
改正点を大別すると、「施行規則の一部改正」と「細目の一部改正」の2項目に分かれます。
- 特定成猫
- 特定成猫とは「生後1年以上」で「午後8時から午後10時までの間に展示される場合には、休息できる設備に自由に移動できる状態で展示されている」という2つの条件を同時に満たした猫のこと。
施行規則の一部改正の概要
- その1 特定成猫については、午後8時から午後10時までの間においても、展示を行うことができることとする。ただし、1日の特定成猫の展示時間は、12時間を超えないようにすることとする。特定成猫が複数の場合は、それぞれの展示時間の最も早い時刻から最も遅い時刻までの間を合計時間とする。
- その2 特定成猫の飼養施設は、午後8時から午後10時までのうち展示を行わない間に、顧客、見学者等を立ち入らせないための措置が講じられていることとする。販売業、貸出業、展示業を営もうとする者であって夜間のうち特定成猫の展示を行わない間に営業しようとする者に限る。
- その3 第一種動物取扱業者の登録、更新の申請事項及び変更の届出事項に「特定成猫の展示時間」を追加する。環境省・報道発表資料
細目の一部改正の概要
- その1 特定成猫については、夜間のうち展示を行わない間に顧客、見学者等が特定成猫の飼養施設内に立ち入ること等により、特定成猫の休息が妨げられることがないようにすることとする。
- その2 特定成猫については、夜間のうち展示を行わない間に特定成猫を顧客と接触させ、又は顧客に譲り渡し、若しくは引き渡さないようにすることとする。
- その3 販売業者、貸出業者、展示業者は、生後11年以上の高齢猫の展示を行う際は、定期的に健康診断を受けさせるなど、猫の健康に配慮した取扱いに努めることとする。環境省・報道発表資料
猫カフェのストレス調査
営業中の猫カフェ73店舗で飼養されている猫から、合計285の糞便サンプルを採取し、ストレスの指標であるコルチゾール濃度を測定した。その後、その測定値と店舗の飼育環境や猫の属性の関連性を統計的に精査した。結果、年齢、性別、入店規制の有無、営業中の休息場所(展示室・別室)、閉店後の居場所(展示室内ケージ・展示室内ケージ外・別室ケージ内・別室ケージ外)、ケージの掃除回数、フロア面積、猫の密度、最長営業時間、平均営業時間でコルチゾール濃度に有意差がないか、有意な相関が見られなかった。一方、店舗ごとの平均値には大きなばらつきがあり、有意差が見られた。このことから、店舗による何らかの違いが、潜在的に猫のストレスレベルを変化させていると考えられる。要するに、午後8時~10時までの時間帯で1歳を超える成猫を展示することは、猫のストレスレベルを高めないための「1日の展示時間が12時間を超えない」、「休息できる設備に自由に移動できる」などの条件が満たされている限り許容されるということです。なお「休息できる設備」は、「動物の愛護及び管理に関する法律施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令等の施行について」(環自総発第120521001号)において、「顧客等との接触や照明・音響にさらされている状態を避けることが可能であって、成猫が十分に休息可能な場所又は設備」と定義されています(→出典)。下の写真のように、客が覗きこんだり手を出したりできる状態は「休息できる設備」とは言いません。
解説
猫カフェに関する問題は多々ありますが、早急に解決しなければならないのは、営業時間を何時までにするかという点ではなく、猫の福祉を守るためのルールをいかに統一・義務化するかという点であるように思われます。この問題を先送りしてしまうと第二、第三の業務停止店が生まれてしまうことでしょう。
東京都は2016年4月21日、10回以上の立ち入り検査や改善勧告にもかかわらず、劣悪な営業環境を改めようとしなかった墨田区の猫カフェ「ねこのて」に対し、全国初となる30日間の業務停止命令を下した。業務停止までの推移「とくダネ!」公式ブログ環境省では、「展示動物の飼養及び保管に関する基準」(→出典)や「展示動物の飼養及び保管に関する基準の解説」(→出典)により、「触れ合い動物」の管理方法について定め、ある程度の指針は示しているものの、経営者によってはその存在すら知らない人もいます。また動物の愛護及び管理に関する法律第24条に基づき、都道府県知事等は第一種動物取扱業者に対し、必要な限度において、報告及び検査を実施することができることとなっていますが、「同一事業者に対して10回以上の立ち入り検査を行い繰り返し指導する」など、時間と労力の無駄とも思われる対応しかできていないというのが現状のようです(→出典)。 現時点で私たちにできる事は、客として猫カフェを訪れた際、猫の福祉が尊重されているかどうかを覆面審査官としてチェックすることです。東京都墨田区の店舗が業務停止命令を受けた背景には、そこを訪れた客があまりにも酷い状況を目の当たりにし、管轄する行政機関に苦情を申し入れたという経緯があります。お役所がしっかりとしたルール作りや監視業務をやってくれないのならば、私たち市民が手分けして行うしかありません。チェック項目に関しては以下のページにまとめてありますのでご参照ください。なお劣悪な店舗を見つけた際は、「第一種動物取扱業者標識」に記載されている管轄機関に報告してください。またこの標識自体が店舗に掲示されていない場合はモグリです。すぐに管轄の保健所に通報してください。