詳細
報告を行ったのは、ペット保険を含めた様々な保険商品を取り扱う「MORE THAN」。イギリス国内に暮らす犬や猫の飼い主1,000人に対してアンケート調査を行ったところ、約9%が「人間用の医薬品をペットに与えたことがある」との回答を寄せたと言います。この割合を人数に換算すると、およそ140万人に達するとのこと。さらに過去1年間だけで、1人平均7回の投与歴があり、具体的な医薬品名としては以下のようなものが多かったそうです。
ペットに投与される人間用医薬品
- 抗ヒスタミン薬→36%
- アセトアミノフェン→28%
- 殺菌クリーム→21%
- イブプロフェン→17%
- アスピリン→14%
人間用医薬品をなぜ与える?
- 医療費を削減するため→35%
- 病院に行くほどではないと判断した→21%
- 取り急ぎ苦痛を緩和しようとした→33%
- 市販薬をペット与えてもよいという誤解→27%
人間用サプリをなぜ与える?
- スタミナを増強して体型を整える→21%
- 早く体重が落ちるのはいいことだ→40%
- ペットの健康を改善する→35%
- 第三者からかっこよく見られる→6%
解説
今回、ペットに投与される人間用医薬品として挙がってきた名前の中には、ペットの命を奪いかねない危険なものも含まれています。具体的には以下です。
犬と猫の中毒ハンドブック
医薬品によるペットの中毒
- 抗ヒスタミン薬 ペットにおける抗ヒスタミン剤中毒の大部分は軽度で鎮静や運動失調などで終わることが多い。しかし肝機能障害を抱えている場合、中毒効果が高まる。
- アセトアミノフェン 臨床症状はチアノーゼ、呼吸困難、顔面浮腫、抑うつ、低体温、嘔吐など。これらの症状は進行し、衰弱、昏睡、最終的には死に至ることもある。猫においては46mg/kg、犬においては100mg/kg程度で中毒を起こすと推定される。
- イブプロフェン 主な臨床症状は腹痛、貧血、黒色便、吐血、胃腸過敏、胃潰瘍など。2015年4月には、イブプロフェンと同じく非ステロイド系抗炎症薬に属する「フルルビプロフェン」を舐めたことによる猫の死亡例が確認されたことから、アメリカ食品医薬品局(FDA)が緊急の警告を発している。
- アスピリン 中毒症状は抑うつ、嘔吐、食欲不振、呼吸速迫、発熱などで、摂取後4~6時間で出現する。中枢神経が抑制されると筋肉の運動失調を招き、昏睡から死に至ることもある。猫における中毒量は25mg/kg/日、犬では50mg/kg/日程度。