詳細
調査を行ったのは、アメリカ・ペンシルバニア大学の研究チーム。2006年から2014年の間、ステントなしの外科手術を受けた74頭の猫とステント留置術を受けた43頭の猫を対象とし、それぞれの治療法をさまざまな角度から比較しました。主な結果は以下です。なお「ステント」とは型崩れしにくいチューブ状の医療器具のことを指します。
こうしたデータから研究チームは、ステント留置術を受けた猫においては、術後に下部尿路症候群や慢性的な尿路感染症を起こす確率が顕著に高いため、注意深い観察が必要との結論に至りました。 Outcomes of ureteral surgery and ureteral stenting in cats: 117 cases (2006-2014)
尿管閉塞の治療法比較
- 周術期における尿路合併症●従来の外科手術→2/74 (3%)
●ステント留置術→6/43(14%) - 周術期における死亡率●従来の外科手術→6/74 (8%)
●ステント留置術→4/43(9%)
こうしたデータから研究チームは、ステント留置術を受けた猫においては、術後に下部尿路症候群や慢性的な尿路感染症を起こす確率が顕著に高いため、注意深い観察が必要との結論に至りました。 Outcomes of ureteral surgery and ureteral stenting in cats: 117 cases (2006-2014)
解説
上記した調査では「従来の外科手術よりも、ステント留置術の方が合併症の危険性が高い」との結論に至っていますが、2010年に行われた別の調査では逆に、従来の尿管に対する外科手術よりも、ステント留置術の方が合併症や死亡率の発生する割合は少なかったとの報告がされています(→出典)。
この調査では2006年から2010年の間、良性の尿管閉塞症を発症した69頭の猫(合計79本の尿管)に対してステント留置術が行われ、その効果が検証されました。その結果、発症の要因としては尿管結石(71%)、尿管狭窄(13%)、結石と狭窄(15%)、化膿性塞栓(1%)が多く、ステント留置の成功率は75/79本(95%)だったと言います。また合併症(ステントずれ・尿管炎・排尿困難・腎盂腎炎・尿の逆流 etc)に関しては、手術に関連したものが8.7%、術後1週間以内のものが9.1%、術後7~30日のものが9.8% 、術後30日以上のものが33%だったとも。さらに周術期における死亡率は7.5%(5/69)で生存日数の中央値は498(2~1278)日だったそうです。こうしたデータから研究チームは、良性の尿管閉塞症に対するステント留置術は、従来の外科手術よりも合併症の発生率や死亡率が低く、効果的な治療法であるとの結論に至っています。 研究報告によって全く違った結論に至るという事は珍しくありませんが、尿管閉塞に対する治療法もその一例のようです。自分が飼っている猫が万が一この病気にかかってしまった場合、治療に伴う身体の負担とその効果とを差引勘定して決定していく必要があります。複数の情報源があった方がより冷静な判断ができるでしょう。
この調査では2006年から2010年の間、良性の尿管閉塞症を発症した69頭の猫(合計79本の尿管)に対してステント留置術が行われ、その効果が検証されました。その結果、発症の要因としては尿管結石(71%)、尿管狭窄(13%)、結石と狭窄(15%)、化膿性塞栓(1%)が多く、ステント留置の成功率は75/79本(95%)だったと言います。また合併症(ステントずれ・尿管炎・排尿困難・腎盂腎炎・尿の逆流 etc)に関しては、手術に関連したものが8.7%、術後1週間以内のものが9.1%、術後7~30日のものが9.8% 、術後30日以上のものが33%だったとも。さらに周術期における死亡率は7.5%(5/69)で生存日数の中央値は498(2~1278)日だったそうです。こうしたデータから研究チームは、良性の尿管閉塞症に対するステント留置術は、従来の外科手術よりも合併症の発生率や死亡率が低く、効果的な治療法であるとの結論に至っています。 研究報告によって全く違った結論に至るという事は珍しくありませんが、尿管閉塞に対する治療法もその一例のようです。自分が飼っている猫が万が一この病気にかかってしまった場合、治療に伴う身体の負担とその効果とを差引勘定して決定していく必要があります。複数の情報源があった方がより冷静な判断ができるでしょう。