詳細
調査を行ったのは、シドニー大学の獣医学チーム。3つの母集団を対象として全血検査を行い、猫エイズウイルス(FIV)と猫白血病ウイルス(FeLV)の陽性率を確認したところ、以下のような結果が出たと言います。
Mark E Westman, Amanda Paul, et al.2016
母集団1
- 西オーストラリア州パース
- 保護施設に収容された猫
- FIV陽性率=6%(対象2,151頭)
- FeLV陽性率=1%(対象2,241頭)
母集団2
- オーストラリア全土
- 外出自由の飼い猫
- FIV陽性率=15%(対象2,083頭)
- FeLV陽性率=2%(対象2,032頭)
母集団3
- マードック大学附属動物病院
- FIV陽性率=14%(対象169頭)
- FeLV陽性率=4%(対象166頭)
FIV感染の危険因子
- 3歳以上である
- オス猫
- 未去勢
- 西オーストラリア州在住
FeLV感染の危険因子
- 持病を持っている
- 西オーストラリア州在住
Mark E Westman, Amanda Paul, et al.2016
解説
今回の調査では、猫エイズの感染リスクとして以前から指摘されていた「未去勢のオス猫」という項目が追認される形となりました。背景にあるメカニズムは「未去勢のオス猫は男性ホルモンの濃度が高い→メス猫に対する欲求が強い→放浪癖が生ずる→他のオス猫と出くわす→メスをめぐって喧嘩する→噛み傷や引っ掻き傷からウイルスが侵入する→感染!」というものです。飼い主は猫の健康に対して全責任を負いますので、事前に去勢手術を施して性衝動を弱めておく必要があります。そうすれば、外に出てナンパしたいという衝動も減り、結果として他のオス猫と喧嘩する機会も減ってくれるでしょう。