詳細
調査を行ったのは、アメリカにあるアルカディア大学とマイアミ大学の心理学研究チーム。過去に報告のあった「ペットの名前を書くだけで気分が良くなる」とか「部屋の中に犬が居るだけでリラックスできる」といった現象が、ただ単に被験者の注意が逸れて気分が紛れただけなのか、それとも動物に特有の癒やし効果なのかを検証するため、「BNS」と「SSES」という互換性のある2つの心理テスト用いた調査が行われました。
- BNSとSSES
- 「BNS」は「Basic Needs Scale」の略。20の質問を通し、自分の価値、自尊心、自己統制感などを評価する。「SSES」は「State Self-esteem Scale」の略。質問は16個で、前述した「BNS」と極めて互換性が高い心理テストとして知られている。
解説
2015年6月、インディアナ大学メディアスクールのジェシカ・ガル・マイリックさんが7,000人以上の人々に対して行ったアンケート調査では、「猫の映像を見た後の感情は概ねポジティブになる」という結論に至っています(→出典)。また、管理しきれないほど大量の犬や猫を飼育しようとする「アニマルホーダー」は、社会的に拒絶されて友達のいない高齢女性に多いというデータもあります。こうした事例から考えると、今回の調査チームが指摘しているように、人間にとっての犬や猫という存在は、マイナス方向に落ち込んだ気分を元の状態に戻してくれるサスペンション的な役割を果たしてくれているのかもしれません。この心理安定効果は特に、「就職面接に落ちた」、「恋人と別れた」、「親や先生に叱られた」といった「社会的拒絶」を経験した後で大きくなると考えられます。つまり、嫌なことがあった後で自分の部屋に戻り、ペットを擬人化してなでながら「私の味方はお前だけだよ…」とつぶやく事には、それなりのセラピー効果があると言うことです。