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猫疥癬を検査する際はもう皮膚をこすらなくてもよい

 激しいかゆみを伴う「猫疥癬」の原因となるダニを検出する際は、従来のように皮膚をガリガリこすらなくても、テープを貼りつけるだけで十分かもしれません(2016.2.17/ブラジルなど)。

詳細

 報告を行ったのはブラジルとベルギーの共同チーム。「猫疥癬」(ねこかいせん)を引き起こすネコショウセンコウヒゼンダニ(Notoedres cati)を検出する際は、これまで皮膚をメスで軽くこすって表面を削りとる「皮膚掻把法」(ひふそうはほう)が主流でしたが、今回チームが検証したのは、絶縁テープの一種である「アセテートテープ」を代替手段として用いるという方法です。 次世代の疥癬検査法として期待されているアセテートテープを用いた「テープ粘着法」  チームは「猫疥癬」が疑われる50頭の猫に対し、皮膚をつまみあげて表面にテープを貼り付ける「テープ粘着法」と、従来通り皮膚の表面を軽くこする「皮膚掻把法」の両方を適用し、皮膚のサンプルを採取しました。その結果、どちらの方法でも採取されたダニの数は同じだったと言います。さらに2頭に関しては、掻把法が見落としたダニを、テープ粘着法がフォローして見つけ出したとも。
 こうしたデータから研究チームは、アセテートテープを用いた「テープ粘着法」は、従来の「皮膚掻把法」と比べて遜色がなく、かつ侵襲性が低い優れた検査法であるとの結論に至りました。この方法は、まぶたや唇、肉球といった感覚が鋭敏な部分から標本を採取する際や、皮膚症状が顕著でない感染初期において標本を採取する際に奏功するだろうと期待されています。 猫の疥癬 Acetate tape impression test for diagnosis of notoedric mange in cats 猫の耳に感染したネコショウセンコウヒゼンダニ(Notoedres cati)

解説

 「テープ粘着法」は2015年、犬を対象とした調査でも有効であるとの結果が出ています。こちらの調査のターゲットはイヌニキビダニ(Demodex canis)とイヌセンコウヒゼンダニ(Scarcoptes scabiei)で、どちらも皮膚掻把法よりテープ粘着法の方がはるかに優れていると大絶賛されています。イヌセンコウヒゼンダニ(0.3mm~0.45mm)より一回り小さいネコショウセンコウヒゼンダニ(0.2mm~0.23mm)でも有効であることが確認されたことから、今後は疥癬検査法の主流になっていくかもしれません。 Skin impression with acetate tape in Demodex canis and Scarcoptes scabiei var. vulpes diagnosis