詳細
報告を行ったのはスウェーデンの研究チーム。犬の傷口、血液、人間の傷口などからカプノサイトファーガ属(Capnocytophaga)を採取し、遺伝的な系統樹を作成しようとしていたチームは、4種類の分類不能な亜種に出くわしたと言います。そのうちの1つ「W13」はRNAプローブで「C. canimorsus」や「C. cynodegmi」といった既存種と97%は一致していたものの、より詳細な全ゲノム解析を行ったところ、2015年に健康な犬の口の中から検出された「C. canis」という新種であることが判明しました(→出典)。さらに、既存種とも新種の「C. canis」とも異なる「W5」、「W10」、「W12」という3つのサンプルに関しては、「C. stomatis」という全く新しい系統である可能性があるとも。
こうした発見から研究チームは、新たに発見された「C. canis」と「C. stomatis」は、犬や猫から人間に感染する可能性があるため、その病原性について今後詳細に調査していく必要があるだろうと指摘しています。 Whole genome sequencing identifies a novel species of the genus Capnocytophaga isolated from dog and cat bite wounds in humans
こうした発見から研究チームは、新たに発見された「C. canis」と「C. stomatis」は、犬や猫から人間に感染する可能性があるため、その病原性について今後詳細に調査していく必要があるだろうと指摘しています。 Whole genome sequencing identifies a novel species of the genus Capnocytophaga isolated from dog and cat bite wounds in humans

解説
カプノサイトファーガ属(Capnocytophaga)にはこれまで8つの亜種があると考えられてきました。犬や猫の口内に生息するのは以下の2種です。
2015年に発見されたばかりの「C. canis」は、もっぱら犬の口の中に生息していることから、ラテン語で「犬」を意味する「canis」と命名されました。病原性は低いと考えられているものの、猫に噛まれた人間の傷口から検出されたという事実もあることから、犬だけが保有しているという報告には疑問が残るところです。また、今回の調査で発見された「C. stomatis」(※stomaはギリシア語で"口")に関しては、人間に感染したときの病原性が全くわかっていません。ただ、犬や猫の口の中に生息している事は確かなため、噛まれたり引っ掻かれたりした後、何らかの症状を引き起こす可能性は否定できないとしています。
現時点で私たちができる事は、免疫力を落とさないことや傷口をペットに舐めさせないこと、およびペットによる咬傷事故や引っ掻き事故に気をつけるといった常識的なことぐらいでしょう。特に、免疫力が弱い赤ちゃんや年配者が居る家庭においては要注意です。
犬猫のカプノサイトファーガ属
- C.canimorsus
- C.cynodegmi
人間のカプノサイトファーガ属
- C.gingivalis
- C.granulosa
- C.haemolytica
- C.ochracea
- C.sputigena
- C.leadbetteri

現時点で私たちができる事は、免疫力を落とさないことや傷口をペットに舐めさせないこと、およびペットによる咬傷事故や引っ掻き事故に気をつけるといった常識的なことぐらいでしょう。特に、免疫力が弱い赤ちゃんや年配者が居る家庭においては要注意です。