トップ有名な猫一覧奇跡の生還を果たした猫アンシンカブル・サム

アンシンカブル・サム

 3度の沈没を生き延びたことで有名な猫「アンシンカブル・サム」について解説します。

アンシンカブル・サムとは?

 アンシンカブル・サム(不沈のサム)は、第二次世界大戦中、沈没した3隻の戦艦に乗り、その全てにおいて生き延びた猫。
ドイツ海軍所属の戦艦ビスマルク(Bismarck)  アンシンカブル・サムは最初、ドイツ海軍所属の戦艦ビスマルクに乗っていた船猫でした。しかし戦艦ビスマルクは1941年5月27日、「ライン演習作戦」へ向かう途上でイギリス海軍と激しい戦いになり、沈没してしまいます。この戦いでのドイツ側の生存者は、2,200人の内わずか118人だったといいます。ところがアンシンカブル・サムは、帰路についていたイギリスの駆逐艦コサックが救助した唯一の生存者として、幸運にも命拾いしました。
イギリスの駆逐艦コサック(HMS Cossack)  敵国であるイギリスの駆逐艦コサックに鞍替えしたアンシンカブル・サムは、ここで「オスカー」と名づけられ、ジブラルタル海峡からイギリス本国へ向かいます。ところが1941年10月24日、ドイツ軍の潜水艦・U-563から発射された魚雷によって艦は損壊、最初の爆発で艦の先頭1/3が吹っ飛び、159名の命が奪われてしまいます。生存者は駆逐艦リージョンへと移ったものの、10月27日、駆逐艦コサックはあえなくジブラルタル海峡の西に沈没してしまいました。船猫オスカーは、ここでもしぶとく一命を取り留めています。
イギリスの航空母艦アーク・ロイヤル(HMS Ark Royal)  ジブラルタル海峡の海岸施設へ移送されたオスカーの次の赴任艦は、イギリスの航空母艦アーク・ロイヤルでした。「アンシンカブル・サム」(不沈のサム)と改称されたのはこの艦においてです。ところがこの艦も1941年11月14日、マルタ沖でU-81による魚雷攻撃を受け、ジブラルタル海峡の沖48キロメートルのところで転覆・沈没してしまいました。ただ、このときの沈没速度は非常にゆっくりだったため、一人を除いて全員が生き残っています。決して沈まぬ猫「アンシンカブル・サム」も、発動機艇の板にしがみついているところを発見され、無事に保護されました。
 その後「アンシンカブル・サム」はイギリスへと送還されて余生を送り、1955年に他界しています。彼の不沈神話を称え、「ビスマルクの猫・オスカー」という名の作品が、イギリスグリーンウィッチにある国立海事博物館に展示されています。 Unsinkable Sam

アンシンカブル・サムの写真

 以下でご紹介するのは、3度の沈没を生き延びたことで有名な猫「アンシンカブル・サム」の写真です。 アンシンカブル・サムと思われる猫の写真
 決して沈まない猫「アンシンカブル・サム」。60年以上前の猫だから、現存する写真は極めて少ない。写真の出典はこちら