物理法則理解度テストの方法
調査を行ったのは、京都大学心理学部のチーム。以下に述べる4つの条件を設定し、猫が音だけを頼りに見えない物体の存在を予測することができるかどうかを、「期待違反メソッド」を用いて検証しました。
猫の予測能力実験条件
- 一致条件1コンテナを振るとカタカタと音が鳴る(5秒)→コンテナをひっくり返すと鉄球が出てくる→猫に自由に探索させる(15秒)
- 一致条件2コンテナを振っても音が鳴らない(5秒)→コンテナをひっくり返しても何も出てこない→猫に自由に探索させる(15秒)
- 不一致条件1コンテナを振るとカタカタと音が鳴る(5秒)→コンテナをひっくり返しても何も出てこない→猫に自由に探索させる(15秒)
- 不一致条件2コンテナを振っても音が鳴らない(5秒)→コンテナをひっくり返すと鉄球が出てくる→猫に自由に探索させる(15秒)
物理法則理解度テストの結果
猫カフェからリクルートされた22頭と家庭で飼われているペット猫8頭からなる30頭を対象に観察を行ったところ、チームの予測通り物理法則に合わない「不一致条件」において猫たちの注視時間が延びたと言います。ただし探索時間に格差は見られなかったとも。
こうした事実から研究チームは、生き物が暗闇の中で動く音から獲物の位置を把握してハンティングを行ってきた猫は、聴覚的情報から欠けている情報を補う能力に長けているという可能性を示しました。今回と似たようなテストを類人猿や人間以外の霊長類で行ったとき、ほとんどの動物がクリアできなかったという事実から考えると、この種の予測能力に関しては霊長類よりも猫の方が上なのではないかとも推測しています。
There’s no ball without noise: cats’ prediction of an object from noise.
Takagi, S., Arahori, M., Chijiiwa, H. et al. Anim Cogn 19, 1043?1047 (2016). DOI:10.1007/s10071-016-1001-6
Takagi, S., Arahori, M., Chijiiwa, H. et al. Anim Cogn 19, 1043?1047 (2016). DOI:10.1007/s10071-016-1001-6